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【独自インタビュー】宇宙飛行士の2人に聞いた、訓練秘話とコミュニケーションの極意(米田あゆさん・諏訪理さん)
米田 すみません、今、思い出したのですが、パラボリックフライト(※放物線飛行:航空機を使って擬似的な無重力[厳密には微小重力]状態を作る)で無重力の中で回転するときも、すごく(シンクロナイズドスイミングをしていた)当時の感覚が呼び起こされました。
──ということは、米田さん、無重力では無敵なんじゃないですか。
米田 そうですかね、って、(宇宙に)行ってみないとまだ分からないですが。もう一つ、例を出せたなと思って。
──付け加えていただいてありがとうございます。
諏訪 パラボリックフライトは何人かでやったのですが、米田さんの身のこなしみたいなのは、すごい上手でしたね。そういう秘密があったんだって、今、知りました。
──諏訪さんは、無重力での自分の感覚はいかがでしたか。記者会見のとき、一番印象に残った訓練としてパラボリックフライトを挙げていらっしゃいましたが。
諏訪 いやあ、何となくかっこよく動いているつもりだったんですけれど、後でビデオ見たら、なんかビクビクしている人が何かをしているなって感じだったので、やっぱりまだまだ慣れる必要があるのかなっていう気がしましたね。
──次に「地学」について、おふたりにそれぞれ伺います。まず、諏訪さんは地球科学、特に地質学や気象科学がご専門です。これまでの宇宙飛行士の活躍は、どちらかというと材料系や生物・医療系に偏っていたように思うのですが、地球科学分野に貢献する宇宙飛行士の未来像をどのように描かれていますか。
諏訪 2つあると思っています。まず、宇宙探査の時代になって、宇宙に実際に行って何かをする時、地球科学、惑星科学はこれからフォーカスすべき分野の1つになっていきます。地球上の研究者と話し合いながら、彼らの目となり手となる、つまりサンプルを持って帰ってきたり、その場で解析したりということが行われていくと思います。そのとき、地球科学のバックグラウンドを持った人には、一定水準の役割があると思います。
そして今後、宇宙開発をますます地球規模課題の解決に結びつけていかなければいけないというところもあると思うんです。
大きな地球規模課題、例えば防災や気候変動対策は、自然科学だけで解けるものではなく、社会科学的な知見なども全部統合的に考えながらソリューションを考えていかなければいけないのですけれども、その中で地球科学の各々の知識はやっぱり非常に役に立ちます。
地球と宇宙という2つのファクターを、地球上の問題解決にどう活かしていけるのか考えていくところに、地球科学をバックグラウンドに持った宇宙飛行士が果たすべき役割があるのかなと思っています。
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