コラム

発見された太陽系外惑星は5000個に 探査の歴史と究極の目的

2022年03月29日(火)11時20分

太陽系外惑星は、直接観測できることは稀です。惑星の重力で主星(中心にある恒星)がわずかに移動する様子を捉えて惑星の存在を見つけるドップラー法や、惑星が周期的に主星の手前を通過することで起きる主星の明るさの周期的な変化から発見するトランジット法などを使って、間接的に観測することが大半です。

そのため、時には測定精度が上がったことで、従来は惑星とされていたものがそうではない可能性があると示唆されることもあります。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)は15日、同大の大学院生プラジュワル・ニラウラさんらの研究チームが、かつてケプラー宇宙望遠鏡で発見された太陽系外惑星のうち3つが、実際には惑星ではなく小さな恒星である可能性を示したと発表しました。

研究チームによって系外惑星ではない可能性が指摘されたのは、「ケプラー854b」「ケプラー840b」「ケプラー699b」です。2016年の発見当時、ケプラー宇宙望遠鏡で観測されたこれら3つの天体の直径は、トランジット法により木星の約1.2~1.5倍と推定されていました。

けれど、その後に利用できるようになったESAのガイア宇宙望遠鏡のデータを用いて再分析したところ、3つの天体の直径は木星の2~4倍の範囲でした。ガイアは位置天文学に特化した宇宙望遠鏡で、ドップラー法を利用して測定しています。ニラウラさんは、「ほとんどの系外惑星のサイズは木星と同程度かそれよりも小さく、2倍あれば(惑星と考えるには)疑わしい」と解説します。

研究チームは、ケプラー854bについては質量も推定できました。算出された値は木星の約102倍(太陽質量の約1パーセント)であったため、ケプラー854bは低質量の恒星の可能性があると示唆しました。

確認済みの太陽系外惑星5000個からニラウラさんのチームが指摘した3個が除外される可能性は高そうですが、実はTESSが検出して確認待ちの太陽系外惑星候補は、確認済みの惑星以上の数があります。合わせて1万個を超える惑星のうち、生命が誕生して進化している星はいくつあるのでしょうか。知性のある地球外生命体とのファースト・コンタクトも、SFの中だけの話ではなくなるかもしれません。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:日本のM&Aで増す株主の存在感、経営判断

ワールド

中国外相がエチオピア首相と会談、幅広い経済協力拡大

ビジネス

メルク、米保健当局に科学的根拠に基づく小児ワクチン

ワールド

キーウにロシアの無人機攻撃、4人死亡・19人負傷 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story