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発見された太陽系外惑星は5000個に 探査の歴史と究極の目的
太陽の1000分の1の質量を持つ木星は「第二の太陽になり損なった星」と言われます。実際に「木星が80倍重かったら、恒星になっていた」と計算されています。SF作品でも、小松左京さんは「木星太陽化計画」がカギを握る作品『さよならジュピター』(徳間書店)を執筆しています。
これまでの太陽系外惑星の発見は、NASAの赤外線天文衛星スピッツァー(2020年に運用終了)、ケプラー宇宙望遠鏡(2018年に運用終了)、トランジット系外惑星探索衛星(TESS、2022年3月現在稼働中)などの貢献が大きいです。とくにケプラー宇宙望遠鏡は、確認された5000個の太陽系外惑星のうち、半分以上の約2600個を発見しました。
今後も引き続き太陽系外惑星探査が活発に行えるように、新しい宇宙望遠鏡も開発されています。
2021年12月に打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、観測波長を近~中間赤外線に特化して、従来よりも鮮明かつ感度良く観測できます。2027年に打ち上げる予定のナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡よりも短い波長の近赤外線の観測に特化して、太陽系外惑星を探すとともに宇宙のダークエネルギーやダークマターの謎にも取り組みます。欧州宇宙機関(ESA)が2026年に打ち上げる予定のケオプス宇宙望遠鏡は、一部の太陽系外惑星の大気組成も研究できると期待されています。
ティーガーデン星bの地球類似指数は0.95
太陽系外惑星は、数ばかりが注目されているわけではありません。究極の目的は、ハビタブルゾーンと呼ばれる、生命が存在かつ進化できる地球と似た環境下を作り出せる領域にある惑星を探すことです。
NASAの太陽系外惑星アーカイブを元にしたHabitable Exoplanet Catalogは、惑星が岩石で構成されているとみられ、表面に液体の水が存在する可能性が高いとされる半径が地球の0.5~1.6倍未満、下限質量が0.1~6倍の太陽系外惑星21個を「潜在的に居住可能な系外惑星の保守的な事例(Conservative Sample of Potentially Habitable Exoplanets)」として列挙しています。そのうち、最も地球に似ているとされるティーガーデン星bは、太陽から12.5光年に位置するティーガーデン星の周囲を公転する2019年に見つかった惑星で、地球類似指数が0.95(0~1で1に近づくほど地球に特性が似ている)と考えられています。
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