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発見された太陽系外惑星は5000個に 探査の歴史と究極の目的
太陽系外惑星は、直接観測できることは稀(写真はイメージです) dottedhippo-iStock
<古くからSF作品のテーマになってきた太陽系外惑星だが、確証を持って発見されたのは1992年が初めてであり、その歴史は意外にも浅い。見つかっていない惑星は数千億個あるとされ、今後の活発な探査のために新たな宇宙望遠鏡も開発されている>
米航空宇宙局(NASA)は21日に「太陽系外惑星アーカイブ」を更新し、65個を新たに追加しました。これをもって、アーカイブに記録された太陽系外惑星は5000個の大台に達しました。
太陽系外惑星アーカイブは、査読付きの学術論文で確認された惑星を掲載しています。見つかった5000個の惑星のうち、4900個は地球から数千光年以内にあるものです。銀河系の中心は、地球から見て射手座の方向に3万光年離れた場所にあります。なので「銀河系内にはまだ見つかっていない惑星が数千億個あるはずだ」と、アーカイブで中心的な役割を担っている米カリフォルニア工科大学NASA太陽系外惑星科学研究所のジェシー・クリスチャンセンさんは語っています。
科学的な観測で発見されたのは30年前
太陽系外惑星は古くからSFの題材になってきました。1966年に始まった『スター・トレック』シリーズでは、地球の統一政府である「地球連合」が太陽系外惑星に住む異星人とともに「惑星連邦」を組織しています。日本語訳が2019年に出版されるとたちまちベストセラーになった中国のSF作家・劉慈欣による『三体』(早川書房)では、地球に最も近い恒星で太陽系から4.3光年しか離れていないケンタウルス座アルファ星系の惑星に高度文明が存在するという設定です。
けれど、科学的な観測によって太陽系外惑星が確証を持って実際に発見されたのは、たかだか30年前の1992年のことです。初めて見つかったのはパルサーPSR B1257+12と呼ばれる太陽から980光年の距離にある恒星の周りを公転する惑星で、2007年までにこのパルサーは3つの太陽系外惑星を持つことが分かりました。
太陽系外惑星の観測が始まった当初は、木星(地球の318倍の質量)の数分の1以下の惑星は見つけることができませんでしたが、徐々に海王星サイズ(地球の17倍の質量)やスーパーアース(地球の数倍~10倍程度の質量)と呼ばれる巨大な地球型惑星も検出できるようになりました。近年は、月の2倍程度の質量(地球の約40分の1の質量)の惑星も発見されています。
惑星も恒星も、宇宙空間に漂うガスや塵の集まった分子雲の密度の濃い部分が、万有引力によって収縮して塊を作ることで誕生します。塊の質量が太陽の10分の1程度以上になると、星の中心部は自己の重力で強く収縮されて高温高圧状態となり、水素からヘリウムが作られる核融合反応が始まって恒星となります。
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