- HOME
- コラム
- サイエンス・ナビゲーター
- NASA、中国、UAE... 2021年が「火星探…
NASA、中国、UAE... 2021年が「火星探査ブーム」なワケ
MMXの目的地は火星そのものではなく、火星衛星のフォボスとダイモスです。
火星衛星の起源には「小惑星が火星に捕獲されたもの」とする捕獲説と、「火星への巨大衝突によって生じた破片が集合して形成されたもの」とする巨大衝突説の2説があります。フォボスからのサンプルの持ち帰りや、2つの衛星の分光学的な探査によって、どちらの説が正しいのかを明らかにすることが目標です。なお、地球と月にも同じ2説が唱えられていましたが、アポロ計画で持ち帰った「月の石」によって、巨大衝突説が正しかったことが分かりました。
MMXには、もう一つ、大きな目標があります。フォボスは火星に近いので、たとえ捕獲説が正しかったとしても、火星に過去に小天体が落ちた時に飛び散った火星表面物質が、ダメージが少ない状態で多量にフォボス表面に散らばっています。MMXは地球帰還予定が2029年です。つまり、日本は世界で初めて火星衛星物質を持ち帰るだけでなく、2031年に持ち帰るNASAのミッションよりも早く、火星本体の物質を持ち帰る可能性が高いのです。
人類史上初の「地球外生命の痕跡を発見」を日本チームが叶えてくれるでしょうか。8年後が楽しみですね。
「『阿吽の呼吸』でがん退治する抗腫瘍細菌」をさらにパワーアップさせた「遊び心」とは? 2024.10.16
はるか昔、地球にも土星のような「リング」があった可能性 隕石が落ちた場所の偏りが証拠に? 2024.09.20