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駅や交差点で人にぶつかるような人が「部下育成」に向いていない理由
雑踏でよく人にぶつかる人は、部下の気持ちにも気づけない? bee32-iStock
<歩きスマホをしていないのに人とぶつかってしまう人は、慢性的に周囲への注意が足りていない可能性がある>
「最近の若い子は、こらえ性がないですよね。忍耐力がない」
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。現場に入ると、ミドルマネジャーにこのような愚痴をよく聞かされる。
経営目標を達成させるには、彼ら彼女らに力を発揮してもらわなくてはならない。なので、どんなに的外れな愚痴であろうと、私は耳を傾けるようにしている。
「まったく、入社してたった1年で会社を辞めたいって言いますかね。私の若いころじゃあ、考えられませんよ。本当に驚いた」
「寝耳に水だったのですか」
「最近の子は何を考えているのか、さっぱりわかりません。悩みがあるんだったら、どうして辞める決断をする前に、ひとこと相談してくれないのか」
「そうですねえ......」
私は曖昧な返事をして考え込んだ。
実は、ここで話題になっている「若い子」は、ずいぶんと前から同僚や先輩に、仕事の悩みを打ち明けていた。他のスタッフの聞き取り調査からも明らかで、直属の上司であるこの課長が気付かなかっただけだ。
「ながらスマホ」もしていないのに不注意な人たち
「そういえば課長、先日転んでひざを怪我されたと聞きましたが、その後具合はいかですか?」
「ああ、もう大丈夫ですよ」
「スマホ歩きしている人と、駅でぶつかったんですよね」
「本当にあれはけしからん! スマホ歩きなんて、法律で取り締まるべきです」
コンサルタントにも忍耐力が必要だ。
「道や駅でよくぶつかるんですか」
「うーん、そう言われると、たしかにそうですね。とくに最近の若い子は、不注意なのが多いですから」
「歩きスマホ」や「自転車スマホ」といった「ながらスマホ」は、今や大きな社会問題だ。現代病の一つとまで言われており、交通事故や転倒事故など、命にかかわる事故やトラブルが何度も引き起こされている。
当然だ。
愛知工科大学名誉教授の小塚一宏氏によれば、ながらスマホをしていると「視界の95%が消える」という。
視界の95%が消えた状態で歩いたり、自転車や自動車を運転するのは危険極まりない。絶対にやめるべき行為だ。
ただ、いっぽうで、世の中には、歩きスマホをしてもいないのに、ついつい人とぶつかってしまう人がいる。
歩きスマホをしている人が人とぶつかったら、当然のことながら、スマホを見ながら歩いている人が100%悪い。しかし、こうも考えられないだろうか?
「どうして歩きスマホをしている人を、よけられなかったのか?」と。
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