アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった
America's Drones Are Too Expensive for Ukraine
ウクライナ供与の話もあったアメリカの高性能ドローン、MQ-9リーパー(4月8日、ニューメキシコ州ホロマン空軍基地) USA TODAY NETWORK
<開戦当初に初回の供与を受けて以降、ウクライナ軍はしだいにアメリカ製ドローンではなく中国製ドローンを使うようになった。値段が高いのも理由の一つだが、ウクライナでの戦争には使えなかったのだ>
ウクライナはロシア軍との戦いで、ドローン(無人機)に大きく依存してきた。だが今後ウクライナが使用するドローンの多くはアメリカ製ではなくなるだろう。アメリカ製ドローンは価格が高すぎるからだ。だがそれだけではない。
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ウクライナ戦争におけるアメリカ製ドローンの問題点については、米メディアが最近、詳しく取り上げ始めた。ウクライナにとってはあまりに高価な上、ロシア軍との戦いでは大して役に立たないと、4月11日付のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月に始めた戦争では、ロシア、ウクライナ双方にとって、ドローンは価値ある兵器となっている。ウクライナ軍の巧みなドローン攻撃で、クリミア半島ではロシアが守勢に立たされたと、軍事アナリストは評価。驚くことに、ウクライナが飛ばしたドローンは国境から遠く離れたロシアの首都モスクワにも到達している。
だが開戦当初に最初の供与分がアメリカからが送られた後、ウクライナはしだいに中国製ドローンを使用するようになった。ウクライナがロシアの親密な盟友である中国から購入しているのは部品だけではない。ウクライナ政府は中国から「ドローン本体を大量に調達するルートを見いだした」と、WSJは報じている。
米国防総省も問題を認識
中国製を使うのは、「アメリカ製の商用ドローンは中国製のそれに比べ、何万ドルも高くつく」からだと、WSJは説明している。なにしろウクライナ軍が使用するドローンは、毎月ざっと1万機にも上る。
ウクライナのドローン計画を管轄するDX省のゲオルギ・ドゥビンスキー副大臣はアメリカ製ドローンをもっと試したいのはやまやまだが、われわれは「コスト効率のよい解決策を探っている」とWSJに話している。
価格もさることながら、アメリカ製ドローンはロシア軍に探知されやすい。また「誤作動が起きやすく、修理が難しい」こともあり、安価でも戦場で使える中国製に軍配が上がると、WSJは解説している。
「アメリカ製ドローンはどのクラスも、ほかの兵器システムほど性能がよくないと、一般的に見られている」と、ウクライナにドローンを提供しているシリコンバレーの企業・スカイディオの幹部はWSJに語っている。
この問題に関する本誌の問い合わせに対し、米国務省の報道官は、われわれは「ウクライナのパートナーが現在の戦闘環境において、とりわけ電子戦におけるロシアの高度な戦闘能力に対して、ドローンを使用する際に直面している困難な問題は重々承知している」と、文書で回答した。