最新記事
米保守派

仏「マクロン夫人は男」と言い張る、アメリカの新たなデマゴーグ

Candace Owens Bets Career on Politician's Wife Being a Man: 'Terrifying'

2024年3月13日(水)15時41分
キャサリン・ファング
キャンディス・オーウェンズ

共和党保守派の集会として知られるサウスカロライナ州クレムソン大学で講演するオーウェンズ(2023年4月4日) USA TODAY NETWORK via Reuters Connect

<フランス大統領の夫人が「男だ」という根拠のない噂をさも真実かのように言い募り、遂には自分のキャリアを懸けてもいい、と言うオーウェンズは新種の陰謀論者か?>

米国の保守系政治評論家キャンディス・オーウェンズが、フランスの大統領エマニュエル・マクロンの妻ブリジットは男性であることに、自分のキャリアを賭けてもいいと発言した。

 
 

オーウェンズは3月12日、「調べてみたが、ブリジット・マクロンは男だということに、プロとしての名誉を賭けてもいい」とX(旧ツイッター)に投稿した。「この妥当性を否定しようとするジャーナリストや出版物は、すぐに体制側だとわかる」

オーウェンズは11日、自身のポッドキャストで、以前からあるこの陰謀論を深掘りし、もしブリジットが本当にこの説を否定したいのであれば、30歳以前の写真を公開すればいいだけだと主張した。オーウェンズは、ブリジットが赤ん坊だったころの貴重な家族写真を分析し、ブリジットは兄と「うり二つ」なため、2人は本当は同一人物だと結論づけた。

フランスの裁判所は2023年、ブリジットに関する陰謀論を流布したとして、2人の女性に罰金を科した(すでに削除されているユーチューブ動画が問題になった)。霊能者のアマンディーヌ・ロイと、自称フリージャーナリストのナターシャ・レイは2021年、4時間にわたる動画で、ブリジットはジャン=ミシェル・トロニューという男の子として生まれたと主張した。ジャン=ミシェル・トロニューは、ブリジットの兄の名前だ。さらにこの動画では、ブリジットは子どもを産んでおらず、最初の夫は存在しないと主張している。

「社会のレベルが心配」

マクロンは8日、国際女性デーのイベントでこの噂に言及し、「最悪なのは、偽情報とつくり話だ」と断じた。「人々は、やがてそれを信じて動揺する。たとえ親密な関係でも、それによってかき乱される」

マクロン夫妻の型にはまらない関係が、メディアの注目を集め、陰謀論の火種となった面もある。マクロン夫妻が最初に出会ったのは、ブリジットがラ・プロヴィダンス高校で演劇を教えていたときだ。当時15歳だったマクロンは、ブリジットの娘ローランスと同級生だった。フランスでは、性的同意年齢は15歳だ。

マクロンが16歳のときに交際が始まり、2007年、マクロンが29歳、ブリジットが54歳のときに二人は結婚した。マクロンは、ブリジットの子ども3人の義父になった。

2017年、マクロンは39歳で、フランス最年少の大統領に選出された。

ブリジットの娘ティファニー・オーゼーヌは2月、写真週刊誌『パリ・マッチ』の取材に対し、「ソーシャルメディアで出回っている、母が男だという噂を聞くと、社会のレベルが大丈夫か心配になる」とコメントしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中