サル痘は性感染症ではないがキスなど濃厚な接触には注意を──CDCガイドライン
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<米国疾病対策予防センターとLGBTQコミュニティは、サル痘に関する情報を発信している。これはプライド・イベントや参加者だけでなく、皆が知っておくべきことだ>
6月に入り米国中でLGBTQコミュニティを祝福するパレードやイベントが続々と開催されている。新型コロナ対策による規制が緩み、和やかな楽しい時間を過ごせるようになった中で迎えたプライド月間だが、新たな公衆衛生の脅威が迫っているのも事実だ。
今年に入り流行の兆しを見せるサル痘。中央・西アフリカ以外、主にアメリカやヨーロッパで800件以上の感染者が出ている。WHOも感染エリアの拡大に警鐘を鳴らしている。サル痘ウイルスは、感染者の皮膚や病変部、体液に直接触れることで感染するとされ、発疹、発熱、倦怠感などを引き起こす。1%〜3%の確率で死に至る。
すべての症例を特定するための追跡調査は不十分だが、アフリカ以外で検出されたサル痘の症例の大半は、男性同士の性交渉で発生している。
サル痘自体は性感染症ではないものの、セックスを含む濃厚な接触によって感染する可能性がある。ゲイやバイセクシュアル男性の間で多く確認されている理由は、特に性感染症の健診を受ける傾向があるため。サル痘は性器に発疹として現れることがあるという。
ヨーロッパ、米国以外の地域でもサル痘にかかるリスクは同じで、発見されない可能性も高い。感染拡大を未然に防ぐためにも警戒は必要だ。
サル痘にまつわる偏見を懸念
プライド・イベントのプロデュース団体であるインタープライドが主催した会合で、米国疾病対策予防センター(CDC)のHIV担当責任者、デミトル・ダスカラキスは、「これは我々がこれまでに扱ってきたケースと同じ。大して特別なことではありません」と話す。
発疹が出たら受診することが重要というメッセージを広めることは、ゲイ・バイセクシャル男性の間だけでなく、それ以外の人への感染を抑制する役割を果たす。「このようなことを伝えるのに、これほど適した時期はないと思います」と、ダスカラキス。
インタープライドの共同代表であるジュリアン・サンジバンが懸念するのは「サル痘にまつわる偏見」だ。「この病気は誰もが感染する可能性があるもの。たまたまプライド・シーズンで、多くのコミュニティメンバーが集っているだけ」と言う。
サル痘を避けるには
現状では、予防接種などが役に立つという兆候はないし、サル痘に対する完全な免疫を獲得するのに時間がかかると考えられる。また、サル痘の検査能力は限られているため、イベントでの参加者のスクリーニングも非現実的だ。
CDCとLGBTQコミュニティは、サル痘に関する情報を発信・共有している。これはプライド・イベントや参加者だけでなく、皆が知っておくべきことだ。