最新記事

ロシア軍

ついに明かされたロシア軍「Z」の真の意味

True Meaning Behind Russian 'Z' Symbol Finally Revealed

2022年4月20日(水)15時55分
ブレンダン・コール

ドネツク地方を走る親ロ派の軍用車両とZのマーク(3月1日) Alexander Ermochenko-REUTERS

<ウクライナ侵攻の当初からロシア軍の戦車の脇などあらゆるところに書かれてきたた「Z」の文字。解釈には諸説あったが、公式の説明が出た>

ロシア軍によるウクライナ侵攻のシンボルとして有名になった「Z」マークの意味を、ロシアの国営放送が明らかにした。

ロシアの国営テレビ局「第1チャンネル」のニュース番組が4月18日、第2次大戦でソ連がナチスドイツに勝利したことを祝う5月9日の戦勝記念日のリハーサルが行われたことを報じた。そのなかでアンカーのエリセーエフは、パレードには1万1000人以上の軍人が参加し、8機のMiG-29戦闘機が、アルファベットのZを描きながら飛行する予定だと伝えた。


米誌デイリー・ビーストの記者で、ロシアウォッチャーでもあるジュリア・デイビスのツイートによれば、エリセーエフは番組内で、なぜ「Z」なのかを説明した。「Z」は数字の7を2つ、1つを逆さまにして重ねたものだという。つまり、77回目の戦勝記念日を意味し、それがウクライナからドンバス地方を「取り戻す」ウクライナ侵攻の象徴になった(注:だとすれば、5月9日までに勝利する、の意味も含まれそうだ)。

「つまり、第2次大戦(WWII)の終結を祝うため、プーチンはWWZを始めることにしたわけだ」とデイビスはツイートする。また別のツイートでは、「ロシアは基本的に特大サイズの北朝鮮といえるが、北朝鮮よりたちが悪い」と記している。

Zの文字は、2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始してから、ロシアへの支持を表すロゴとしておなじみの存在になった。

ロシア軍の軍用車両にはZが書かれ、多くの政治家が、Z入りの服や記章を身に着けている。ロシアのタタールスタン共和国の首都カザンでは、ホスピスを運営するがん慈善団体の会長ウラジーミル・バビロフのアイデアで、子どもたちが雪の上で「Z」の形に並ばされたという。

不吉な含み

Zの解釈は他にもあった。

英国の防衛シンクタンク王立統合軍事研究所(RUSI)の所長だったマイケル・クラークはスカイニュースに、このシンボルはおそらく、部隊の配置に関係していると語っていた。

米シンクタンク、ウッドロウ・ウィルソン国際センターのフェロー、カミル・ガレエフは3月6日のツイッターで、Zはロシア語の「Za pobedy(勝利のために)」や「Zapad(西)」を表しているという解釈もあると述べた。

ガレエフはそのうえで、解釈にかかわらず、Zは「新しいロシアのイデオロギーと国民意識の象徴」になっており、不吉な含みを持つと続けた。「簡単に言えば、完全なファシストに近づいているということだ」

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、PPIはインフレ高止まりを

ビジネス

米アマゾンの稼ぎ頭AWSトップが退任へ

ビジネス

ソニー、米パラマウント買収を「再考」か=報道

ビジネス

米国株式市場=上昇、ナスダック最高値 CPIに注目
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 7

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中