最新記事

選挙

仏大統領線、ルペンへの「極右アレルギー」後退 決選投票はマクロン僅差の戦いも

2022年4月12日(火)17時12分
フランスのマクロン大統領

フランス大統領選挙の第1回投票が行われ、現職でマクロン大統領(写真)と、極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン党首が決選投票に進む見通しとなった。パリで撮影(2022年 ロイター/Benoit Tessier)

フランス大統領選挙の第1回投票が10日に行われ、現職でマクロン大統領と、極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン党首が決選投票に進む見通しとなった。中道のマクロン氏が24日の決選投票でルペン氏を制して再選を目指そうとするなら、地に足の着いた選挙戦をもっと強化するしかない。ルペン氏の穏健化によって、これまでの有権者の「極右アレルギー」をもはや当てにできないからだ。

第1回投票でマクロン氏の最終得票率は28%になるとみられ、2017年の前回選挙より改善している。しかし、各種世論調査によると、決選投票でマクロン氏はルペン氏に勝利するとしても僅差の戦いになる。

これまでフランスの選挙は全国レベルでも地方レベルでも、左右両派の有権者が一致団結して極右が政権の座に就くのを阻止する「共和国統一戦線」と呼ぶべき運動が生じてきた。今回も、右派の共和党や左派の社会党を含め、第1回投票で敗退が見込まれる主要候補は軒並み、決選投票でマクロン氏を応援すると表明した。

とはいえ、彼らの支持者が言うことを聞くかどうかは分からない。さらに各候補の予想得票率はいずれも1桁台とあまりに低調なので、支持層の動向はあまり重視されないかもしれない。

市場調査会社イプソス・フランスの調査責任者マチュー・ギャラール氏は「政治家の間では共和国統一戦線が動き出しつつある。有権者がそれに従うかどうかはまだ不透明だ」と述べた。仏世論研究所(Ifop)の出口調査から予想されるマクロン氏の決選投票の得票率は51%にとどまっており、確かに共和国統一戦線のほころびがあらわになりつつある。

マクロン氏再選のハードルが高くなっている状況は、ルペン氏側の変化からも見て取れる。ルペン氏は以前に掲げていたより好戦的な反移民、反欧州連合(EU)の旗をほぼ降ろし、生活費上昇問題の取り組みに重点を移している。この結果、Ifopが3月に実施した別の調査によると、ルペン氏を「恐ろしい」と考える国民は半分弱に減少した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン大統領と外相搭乗のヘリが山中で不時着、安否不

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 9

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中