最新記事

中国

彭帥さん、告白文を書いたことを認め、「性的侵害」を否定:シンガポール紙に肉声と動画

2021年12月21日(火)12時59分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
中国女子テニスの彭帥選手

中国女子テニスの彭帥選手 Kim Hong-Ji-REUTERS

19日、上海に行き自由行動をしていた彭帥さんは、突然シンガポール紙の取材を受け、ウェイボーに告白文を書いたことを認めた上で「性的侵害ではない」と主張した。その動画に基づいて真相を再考察する。

彭帥を突然取材したシンガポール紙「聯合早報」の動画

12月19日、彭帥(ほうすい)さん(以下、彭帥)は上海で開かれたスキー競技を、NBA(米プロバスケットボール協会)の選手だった長身の姚明(ようめい)さんらと観戦したあと、周辺を散策していた。

すると、ある人物がいきなり彭帥に話しかけてきたので、彼女は非常に怪訝な顔をした。しかし「あ、テレビ局?」という問いに、相手が「はい、そうです。聯合早報です」と答えると、すぐに態度を変えて、取材に応じた。

その一部始終を聯合早報のユーチューブで観ることができるので、この動画に沿ってご説明したい。


まず聯合早報の記者(以下、記者)が「以前、あなたはウェイボーでメッセージを発表したじゃないですか・・・」と言ったときに、彭帥は何度かうなずいている。動画の「1:39」あたりをご覧いただきたい。

11月23日のコラム<女子テニス選手と張高麗元副総理との真相―習近平にとって深刻な理由>で書いたように、11月2日、彭帥がウェイボーに長いメッセージを書いて、張高麗元副総理(以下、張高麗)との男女関係に関して告白した。

動機は、10月30日に「11月2日に会おう」と約束したのに、11月2日になって張高麗がドタキャンしてきたことに対して激怒したからだ。

同コラムに書いたように筆者は2012年春に天津にいた教え子から張高麗(当時、天津市書記)に関して「不倫をしているらしい」という噂を聞いていた上に、彭帥がウェイボーで公開した文章があまりに乱れていることから、これは確実に彭帥自身が書いたのであって、他の人が成りすましで書いたものではないと断言していた。

日本の「中国問題に詳しい専門家」と言われる人たちの一部が、「これは権力闘争で、習近平を陥れるために書いた可能性がある」という陰謀説を流していたが、もし誰かが彭帥に成りすまして書いたのなら、すぐに当局に見つかり捕まるし、そもそも彭帥が「あれは私が書いたものではありません!」と、ひとこと言えば解決する話なので、陰謀説など笑止千万と断言する自信があった。

それでも日本では陰謀説に喜ぶ視聴者や読者が多く見方が分かれていた。しかしこのたびの聯合早報の動画は、筆者の視点が正しかったことを裏付けてくれたので、詳細に再考察したい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロ中、ガス輸送管「シベリアの力2」で近い将来に契約

ビジネス

米テスラ、自動運転システム開発で中国データの活用計

ワールド

上海市政府、データ海外移転で迅速化対象リスト作成 

ワールド

ウクライナがクリミア基地攻撃、ロ戦闘機3機を破壊=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中