最新記事

習近平

習近平「歴史決議」の神髄「これまで解決できなかった難題」とは?

2021年11月13日(土)13時48分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
中国共産党党旗

中国共産党党旗 Wong Campion-REUTERS

11日中共六中全会が閉幕し「歴史決議」が採択された。建党百年の節目であることと、「これまで解決できなかった難題を解決した」ことが決議を出す主たる理由となっている。では、その「難題」とは何か?

六中全会で「歴史決議」が採択された

第19回党大会以降の5年間内において開催される中国共産党中央委員会全体会議の第六回目会議(六中全会=中共中央第六回全体会議)が11月8日から11日にかけて北京で開催された。

冒頭の開幕式において習近平(中共中央総書記)が講演したと思われる内容を中心とした「六中全会公報(コミュニケ)」が11月11日に発表された。このリンク先をご覧いただくと、習近平が六中全会で講演している姿が動画で映し出されている。一般に会議の様子は非公開となっているので、この映像により実際の雰囲気を窺(うかが)い知ることができる。

六中全会では「歴史決議」が採択され、その内容に関して11月12日に中共中央が記者会見を開き「党の百年奮闘における重大な成果と歴史経験に関する中共中央の決議」という決議名で採決されたと公表した。決議文の全文は未だ公開されていない。

それでも公報と記者会見の内容から、習近平による「歴史決議」がおおむね如何なる内容であるかは考察することができる。

「歴史決議」とは

記者会見で中共中央党史文献研究院の曲青山院長も認めているように、このたびの「歴史決議」は中国共産党の歴史において、3回目の決議である。

1回目は、1945年4月に(第7回党大会六中全会で)毛沢東が提唱した「若干の歴史問題に関する決議」で、これは1921年の建党以来、主として(旧)ソ連のコミンテルン系列を中心として展開されてきた中国共産党を、完全に毛沢東の下で発展させていくことを認めた大きな歴史的転換を示すものだった。

2回目は、1981年6月(第13回党大会六中全会)において鄧小平が提唱した『建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議』である。これは文化大革命(1966~76年)への批判を中心としたもので、1回目も2回目も、いずれも「若干の歴史問題」という言葉があるのが特徴だ。

「歴史の過ちを繰り返してはならない」という「党内抗争」を戒めているという、「問題点」を中心にしたという共通点を持つ。

ところが今般の習近平による「歴史決議」はには「問題」という文字はなく、あくまでも「党の百年奮闘における重大な成果と歴史経験に関する中共中央の決議」と、非常に肯定的だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮が短距離弾道ミサイル発射、日本のEEZ内への

ワールド

中国、総合的な不動産対策発表 地方政府が住宅購入

ワールド

上海市政府、データ海外移転で迅速化対象リスト作成 

ビジネス

中国平安保険、HSBC株の保有継続へ=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中