最新記事

英王室

ヘンリー王子&メーガン妃インタビュー、誰が勝者で誰が敗者なのか?

Who Won the Interview?

2021年3月16日(火)19時00分
ヘザー・シュウィドル
米CBSが放送したメーガン妃のインタビュー

王室から受けた仕打ちを暴露したメーガン(左から2人目)は「侮れない人物」という評価を勝ち取った Joe Puguese-Harpo Production-REUTERS

<反響を呼んだ王子とメーガン妃の独白番組で得した人と損した人を「勝手に」ランキング>

日曜のテレビはスポーツ中継ばかりで退屈とお嘆きのドラマ好きも、3月7日の晩は手に汗握ってメーガン妃とヘンリー王子のインタビューを見守ったはず。オプラ・ウィンフリーの仕切りは絶妙だったし、なによりも勝者と敗者がはっきりしていた。

メーガン陣営と英国王室による熾烈な世論争奪戦は、ボールを奪い合う試合の決勝戦よりずっと白熱していた。で、結果はどうだったか。筆者の独断と偏見で、失点の少なかった順に20位までランク付けしてみた。

* * *


無傷の勝ち組

1位:メーガン妃 見事に最少失点で切り抜けたのは彼女だ。メーガンが一人で英王室をぶち壊したとまでは言うまい。しかし彼女が3月7日の晩のヒロインだったことは間違いない。メーガンは王室入りしてからのつらい体験を率直に語る一方、特定の個人名は出さないよう慎重に配慮していた。やむなくケイト妃(ウィリアム王子の妻キャサリン)の名は出してしまったが、兄嫁の立場には寛大な理解を示そうとした。

その結果、メーガンは王室に恨みを抱いているのではなく、むしろ王室を、ひいては世界をいい方向に変えたいと思っているだけだという印象を視聴者に与えた。この調子がずっと続く保証はないが、彼女が「やり手」であることは世界に示せた。

2位:オプラ 自身のトーク番組を終わらせてから10年近くたつ彼女が、今も抜群の知名度と人気を保っているのは事実。こうした注目度の高いインタビューを得意としているのも周知の事実。それでも視聴者の多くは、今回のウィンフリーのパフォーマンスに拍手を送ったと思う。メーガンもヘンリーもそれなりの覚悟で収録に臨んだはずだが、それでも2人の本音を引き出せたのは彼女の功績だ。

3位:CBS アメリカではリアルタイムで1710万人が番組を視聴した。しかも今はストリーミング配信で大いに稼げる。ニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、放映権の取得に700万ドルも払ったそうだが、それでもオールドメディアの代表格であるCBSにとっては大勝利だ。

4位:故ダイアナ妃 番組中ずっと、ポジティブな存在として語られ続けたのがダイアナ妃だ。ヘンリーが自身の家族のためにイギリスを離れて新生活を始めることができたのも母ダイアナの遺産があったからこそ。メーガンが精神的に追い込まれていたときに支えてくれたのもダイアナの友人たちだ。世を去ってからこれだけの年月が流れても、ダイアナの威光は絶大で、父チャールズ皇太子を筆頭とする王族の誰もかなわない。

5位:アーチー 番組中にはメーガンとヘンリーの息子アーチー(もうすぐ2歳になる)が父親と一緒に自転車に乗り、片言でおしゃべりする様子も映し出された。アメリカの視聴者は思ったはずだ。こんなに愛らしい子が冷遇され、人種差別を受けていたなんて許せない、坊や、アメリカ人は君の味方だよ、いずれ君は、いとこたち(つまり長男夫妻の子たち)も羨む人気者になるぞ、と。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中