海外からの観光客9月受け入れ断念 インドネシア・バリ、2021年再開へ
現在インドネシア政府は原則として海外からの観光客を受け入れていないため、バリ島に国内旅行で渡航が可能なのはインドネシア人かインドネシア在住の外国人に限定される。さらに国内線航空機でのバリ渡航には搭乗地で事前にコロナウイルス検査を受けることが義務付けられている。
それでもバリ島の人気は高く、8月に入ってからはバリ島のングラライ国際空港には国内線のフライトで1日に2300人から2500人が到着する盛況ぶりが続いているという。
ジャカルタに事務所を構える日系の旅行代理店もこうした国内観光客受け入れに対応するため在宅勤務の日本人駐在員などを対象にした「ジャカルタを脱出してバリのリゾートで海を眺めながらテレワークしませんか」という仕事とバケーションを兼ねた「ワーケーション・プラン」を売り出した(関連記事:「バリ島、コロナ終息待てず完工再開高級リゾートのテレワーク格安プランを提供、ただし国内限定」)。
そして仕上げの第3段階として9月11日から海外観光客の受け入れ開始、となる予定だったのだが、これが延期となって州政府が描いたバリ島観光再生計画は最後の段階で水泡に帰すことになってしまったのだ。
往生際の悪い州知事の言い訳
バリ島への海外観光客受け入れが2021年まで延期となったことについてコステル州知事は地元メディアに対して「中央政府は依然として外国人観光客の受け入れを2021年まで禁止している。この政策に沿って我々も年末までバリ島の玄関口ドアを開けることはできなくなった。バリ島を含めたインドネシアの(コロナウイルス感染の)現状から外国人観光客を迎え入れるには十分に安全ではないこともある」との立場を明らかにした。
しかし9月11日からの外国人観光客受け入れ方針を明らかにした7月31日の時点ですでに明らかになっていたことを理由として羅列しているに過ぎないとの批判もでている。
さらに州知事は「たとえばオーストラリアは2021年まで自国民の海外旅行を禁じている。中国、韓国、日本、欧州各国も自国への海外観光客をまだ受け入れていない。こうした方針は自国民へのコロナ感染の拡大を懸念した安全確保の立場から取られているものだ」と海外の例を挙げて、バリ島の今回の判断を正当化している。
しかしこうした言い分も期待を寄せていたバリ島観光業関係者には「虚しく聞こえるだけ」「観光客の安全を真剣に考えたら早期解禁にはならないだろう」(バリ島ホテル関係者)という。
コステロ州知事は「政府はバリ島の外国人観光客の先行解禁を支持してくれていたが、我々はより警戒して、解禁を急ぐ必要はなくさらに準備することが重要と判断した。バリが失敗すれば世界がインドネシアをみる目が変わってしまいかねないからだ」と往生際の悪い言い訳と責任転嫁のような説明を続けた。
そして最後に、今後は現在続けている国内観光客のさらなる誘致で「バリ島観光業をはじめとする経済の再生に努力したい」と強調した。