最新記事

SNS

RIP木村花 ネットの悪質コメント、日米韓それぞれの対応

2020年6月3日(水)19時22分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

「誹謗中傷も有名税」と片付けられてきたのはもう止めるべきだ。

<見ず知らずの相手からの罵詈雑言に私たちはどう対応すればいいのか──>

2020年5月23日、人気リアリティー番組『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演中だった女子プロレスラー木村花さんが、22歳という若さでこの世を去った。自宅のリビングに遺書とみられる書置きがあり、本人のSNSには「さようなら」「愛されたかった人生でした」などの投稿があったことから自殺とみられている。生前、彼女のSNSにはアンチからの誹謗中傷コメントが1日100件以上も届き、そのことに悩まされ追い込まれた末の自殺ではないかと推測される。

『TERRACE HOUSE』は、2012年10月から放送が開始され、2015年には映画化もされている人気番組だった。6人の男女の共同生活を追ったリアリティー番組で、放送開始当時シェアハウスブームが起こり始めていたため、さらに注目を集めた。現在はネットフリックスとフジテレビ・オンデマンドで放送されており、世界190カ国に配信中だ。2018年には、アメリカTIME誌が「2018年のベスト番組ベスト10」の1つに『TERRACE HOUSE』を選び話題を呼んだ。

世界に広がった「#RIPHanaKimura」

ネットフリックスを通じ、世界各国に配信されていたこともあり、木村花さんの死は、BBCやワシントンポスト等、海外のメディアも大きく報じた。フランスでは、ル・パリジャンやル・モンドが「カリスマ的レスラーの死」と大きく報道するとともに、今世界中で深刻化するネット被害についても紹介している。

また、Twitterでは#RIPHanaKimuraのハッシュタグに、死を惜しむ各国のファンのコメントがあふれた。このハッシュタグは、アメリカで一時トレンドワードの1位になるほど多くの人たちが木村花さんを悼んだ。

また、日本の芸能人達も声を上げ始め、SNSや番組を通し、誹謗中傷書き込みがどれだけ人を傷つけるかについて、実体験を含め発信し始めている。25日には菅官房長官が定例会見で、追悼の言葉と共に「SNSのリテラシー向上のための啓発を行うことが重要」と話している。

今回の木村花さんのような、誹謗中傷を苦に自殺に追い込まれる悲劇を二度と起こさないためにも、既に対策に取り掛かっている韓国やアメリカの対処法を調べてみた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

銀行資本規制「バーゼル3」、米当局に8月最終決定の

ビジネス

米マスターカード、1─3月1株利益が市場予想超え 

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、米ハイテク株安や円高が重

ビジネス

テスラの「ギガキャスト」計画後退、事業環境の逆風反
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中