最新記事

感染症対策

新型コロナ対策の規制緩和した韓国 感染症と暮らす「新しい生活様式」とは

2020年5月14日(木)20時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

newsweek_20200514_195614.jpg

ソウル中心部の大型教会では、入口に信者が事前に登録したカードの読み取り機を設置。通常の3分の1に入場する信者を制限してミサを行っている。KBS News / YouTube

クラスター発生しやすい教会の対策

韓国は、道を歩けば屋根に十字架の付いた教会をすぐに見つけられるほどクリスチャンの多い国だ。また韓国の感染拡大の始まりがキリスト系新興宗教団体でのクラスターだったこともあり、宗教施設の再開は注目を浴びていた。

これまでの規制期間中は、オンラインやドライブスルーのミサなど、韓国らしい独特なアイデアを実施して注目されていたが、規制が緩和され実際に教会に集まるようになると、マスクの着用、手指の消毒や手袋の使用、入場時の体温チェックなどはもちろん、バーコードでの入場管理まで導入する教会も登場した。

ソウル市汝矣島に位置する聖堂では、バーコード付きの信者カードを配布し、入退場を管理している。教会内では2m間隔を確保するため、座る位置にもステッカーで目印がつけられ距離が分かるように工夫された。また、芸能人も多く訪れる大型教会として有名なソウルの純福音教会では、純福音教会出席管理システムという独自システムを導入し、「聖徒登録証」と呼ばれるメンバーカードを機械にかざして入場できる方法を取っている。

映画祭はネットとリアルのハイブリッド開催

韓国と言えば、一年中大小さまざまな映画祭が行われているが、三大映画祭の一つ全州国際映画祭は、前代未聞の無観客映画祭の実施を発表し話題を呼んでいる。本来なら毎年4月末頃に全州市で開催していた映画祭だったが、今年は新型コロナ感染拡大のために5月末開催へと1カ月延期が決定していた。しかし、全体的な開催リスクを考慮し、今回の無観客での開催決定が発表された。全州映画祭によると、無観客国際映画祭は世界で初の試みだという。

開幕式の華であるレッドカーペットやゲストの招待、各種イベントはすべてキャンセルされ、映画の上映はオンラインで行われる。コンペティション部門については、審査員たちがオフラインで映画館に集まり、審査のためだけの上映をして選考するそうだ。

さらに、映画祭期間終了後、今回の招待映画を順番に一般映画館で上映すると約束している。今年全州映画祭で上映が予定されていた映画の本数は200本を超えるが、6月上旬から9月末にかけて順番にすべての映画を公開することが目標だと語っている。

【関連記事】
・緩むとこうなる?制限緩和を試みた韓国にコロナのしっぺ返し
・東京都、新型コロナウイルス新規感染10人 3月下旬以来の少なさ
・WHO、複数の新型コロナウイルス治療薬に注目 ワクチン開発は難航と予測
・韓国・梨泰院のクラスター、新型コロナ感染102名に ゲイの濃厚接触者の追跡がネックに


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマス、カイロに代表団派遣 ガザ停戦巡り4日にCI

ワールド

フランスでもガザ反戦デモ拡大、警察が校舎占拠の学生

ビジネス

NY外為市場=ドル/円3週間ぶり安値、米雇用統計受

ビジネス

米国株式市場=急上昇、利下げ観測の強まりで アップ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中