最新記事

鉄道

新型コロナウイルス、運転士が感染すると通勤電車「半減」の危機 欠勤1割なら平日ダイヤ維持できず

2020年3月9日(月)17時15分
西上いつき(鉄道アナリスト・IY Railroad Consulting代表) *東洋経済オンラインからの転載

朝夕のラッシュアワーの時間帯は新型コロナウイルス集団感染のリスクが高い Athit Perawongmetha - REUTERS

厚生労働省が3月1日に公表した「新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために」にて、集団感染の共通点を「換気が悪く人が密に集まって過ごすような空間で、不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」と言及した。

これらの特徴に大きく当てはまるのが満員電車であるが、政府より小中高の休校要請がでた一方で、企業に勤める人々の多くが電車を利用して出勤しなければならない。

また、新型コロナウイルスの感染防止によりさまざまな施設・イベントが開催の中止や延期を決めたが、交通インフラの役割を担う鉄道においては、いまだ平常運行を行っているところが多い。また、厚労省からは鉄道各社に対して乗客に時差通勤やテレワークを呼び掛けるよう要請した。もちろん、各社対策を進めてはいるものの、すさまじい感染拡大をみせる中では一刻も早い対応策が求められる。

JR東日本職員など鉄道現場で感染が広がる

これまで複数の感染者が鉄道を利用していたことはすでに発表されている。例えば、JR西日本においては50代男性が2月21日の特急しらさぎ16号(小松→米原間)および24日の特急しらさぎ59号(米原→小松間)を利用していたことが明らかになっている。航空券への記名が原則的に義務づけられている航空便と違い、いつ・だれが・どこで乗っているかわからないという、不特定多数の乗客が利用することのできる鉄道において感染経路の確認が難しくなることも、国民の不安感を募らせる一因だろう。

また、JR九州においては3月出発分の「ななつ星in九州」およびJR西日本は「トワイライトエクスプレス瑞風」の3月16日分までの運休をそれぞれ発表。そのほかの臨時列車や観光列車も続々と運休の情報が発表されてきており、鉄道運行においても運休措置がとられたことで、今後さらに感染が拡大すれば、その影響は通勤列車などにも波及していくことが予想される。

そして、相模原市の2月24日の発表によると2月22日時点でJR東日本の駅係員が感染した。その後26日になって同僚の陽性診断についても確認され、いよいよ運転現場単位での感染防止についても具体的対策を打たなければならない段階にきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

引き続き為替動向を注視、万全な対応取る=鈴木財務相

ビジネス

米金融機関ボーナス、今年は大幅増へ=リポート

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、利益確定売り優勢 

ビジネス

中国、豚内臓肉などの輸入で仏と合意 鳥インフル巡る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中