中国、蔡英文が圧勝した台湾にさらなる圧力強化へ
裸の王様
習氏は2012年終盤に権力を掌握して以来、国内で反対勢力を全面的に一掃する取り組みを主導してきた。政敵は汚職との闘いという名の下で拘束し、社会のあらゆるレベルで共産党の統制を強化。新疆ウイグル自治区で過激主義を抑えると称して、イスラム教徒を施設に強制収容しているとの非難も国際社会から受けている。
そして香港では、民主主義を拡大せよという声に一切聞く耳を持たない。香港抗議デモへの強硬姿勢に西側諸国は反発を続けている。
今月に入ると、中国の香港出先機関、香港連絡弁公室トップ(主任)が解任された。後任は、かつて中国のがんにたとえられるほど汚職が横行していた山西省で、共産党の規律徹底に腕を振るった人物だ。
台湾問題について中国国内では、力ずくで行けとの声が出ていることのほか、ミニブログ「微博」で国務院台湾事務弁公室の不手際をなじる投稿も見られる。当局批判が表面化するのは異例で、あるユーザーは「担当者はできるだけ早く辞任してほしい。日がな一日、台湾をたたき続けても、(中国にとって)弊害がどんどん生まれている」と書き込んだ。
台湾事務弁公室に蔡氏の圧勝を受けてトップが交代するかコメントを求めたが、返答はない。
中台問題に詳しいある外交筋は、習氏が台湾で実際に起きている事態を知らされていなかった可能性もあると話した。部下たちが悪いニュースを報告するのを恐れたからだ。
同筋は「現在の指導部の雰囲気で、一体誰がボスにあなたは間違っていますよと直言したがるだろうか」と問い掛けた。
(Ben Blanchard記者 Yimou Lee記者)
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