最新記事

選挙

インドネシア「大統領選無効」憲法裁審理続く 野党連合崩壊で政界再編

2019年6月19日(水)19時33分
大塚智彦(PanAsiaNews)

野党連合一部がプラボウォ派から距離

インドネシアは「闘争民主党(PDIP)」や「ゴルカル党」「ナスデム党」など主要7政党がジョコ・ウィドド大統領を支える与党連合として大統領の再選続投を支持してきた。

これに対しプラボウォ氏の野党連合は同氏が党首の「グリンドラ党」、スシロ・バンバン・ユドヨノ前大統領率いる「民主党」、民主化運動の指導者の1人だったアミン・ライス氏が結党した「国民信託党(PAN)」、イスラム政党の「福祉正義党(PKS)」の4政党が中心となっている。

このうち民主党は党首代行を務めていたユドヨノ前大統領の長男アグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏が、プラボウォ氏の敗色が明確になるとジョコ・ウィドド大統領と2度にわたって会談。大統領の所属政党であるPDIの党首でもあるメガワティ・スカルノプトリ元大統領ともイスラム教のラマダン明けの行事で直接面談するなど、与党との関係修復に乗り出している。

また6月2日にはユドヨノ前大統領夫人の葬儀があり、ここでも和解の場面が見られた。かつてユドヨノ氏は、メガワティ元大統領の下で重要閣僚にありながら辞任し、大統領選でメガワティ氏を破り勝利した。こうした経緯から、両者は「犬猿の仲」となっていたが、葬儀の場で両者が握手する場面が見られ、与党と民主党の歩み寄りの象徴として大々的に報じられた。

さらにPANも6月5日にバラ・ハシブアン副議長が「グリンドラ党、民主党などとの連合は大統領選に関するものであり、それは終わった。今後どうするかは党大会で選択することになる」と野党連合から距離を置き、独自の路線を進むことを示唆した。

これに対し「PKS」は今後も野党連合にとどまるとしながら「PANも民主党も野党連合に留まると信じている。連合の相手を変えることは政党の姿勢としては問題だ」(マルダニ・アリ・セラ党中央幹部委員長・7日)と野党連合解体の動きを牽制するなど、野党連合各党の去就が注目の的となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ総司令官、東部前線「状況悪化」 ロ軍攻勢

ビジネス

米GM、コロンビアとエクアドルで工場閉鎖 次世代車

ビジネス

ドル円が急上昇、一時160円台 34年ぶり高値更新

ワールド

米国務長官、29日からサウジ・イスラエルなど訪問 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中