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養女虐待疑惑ウディ・アレンの自己弁護、『女と男の観覧車』

2018年6月22日(金)19時15分
サム・アダムズ

精神的に追い詰められたジニーは、ミッキーとキャロライナの関係を疑うようになる。やがて、キャロライナの行方をずっと捜していたギャングたちがとうとう彼女の居所を突き止める。そのときジニーは、彼女が殺されることを防ぐための行動を取らない。

妄想にとらわれた女優が、恋人と自分の義理の娘の関係を疑って怒り狂い、許されざる行為に手を染める。聞き覚えがあるストーリーだ。アレンは、ファローがそのような行動を取ったと主張している。自分の恋人が養女に性的虐待を行ったという疑惑をでっち上げ、それを真実と思い込むように娘を「洗脳」した、というのだ。

アレンがこの映画を通じて性的虐待を「自白」したとみるのは正しくない。その正反対だ。アレンはこのような作品世界をつくり上げることにより、ファローを糾弾し、自らの潔白を訴えている。

しかし、アレンがわざわざ物語を通して、間接的な形で言い分を訴えざるを得なかったこと自体が、性的虐待を自白しているようにも思える。

『女と男の観覧車』が美しい映画に仕上がっていることは否定しないが、説得力を欠く部分もある。例えば、重要な語り手だったはずのミッキーが最後のシーンには出てこない。

代わりに登場するのは、ジニーの息子リッチーだ。この男の子の人物像を決定づける要素として作品内で示されているのは、放火癖の持ち主だということだけ。映画は少年が海辺にたたずみ、木くずが燃えるのを眺めているシーンで終わる。

最後に創造性(脚本家)が影を潜め、破壊への衝動(放火癖の少年)だけが残ったことは、この映画の性格を反映しているのかもしれない。

<本誌2018年6月26日号掲載>

© 2018, Slate

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