便秘にサラダは無駄? 専門医が解説、本当に便秘にいい食べものは
便秘の人が取るべき食べ物
水溶性食物繊維は便の形を作るのではなく腸内細菌の栄養になっています。善玉菌が元気になると、体に良い様々な有機酸(酪酸や乳酸、プロピオン酸)が作られて、腸の動きが良くなるのです。これらの有機酸が大腸を動かすエネルギーとなり、腸の蠕動運動が良くなって便秘が改善します。ほとんどの野菜は不溶性食物繊維の方が水溶性食物繊維よりも多く含まれています。ですから食物繊維を摂ろうと意識するときは、水溶性食物繊維を多く摂るよう意識することが大事です。
水溶性食物繊維を多く含むのは、らっきょうやにんにく、ごぼうなどの根菜類やワカメなどの海藻類です。また、リンゴやキウイフルーツ、プルーンなどの果物も水溶性食物繊維が豊富で、便秘解消に役立ちます。
姿勢を変えるだけでも効果が
排便の姿勢を見直すだけで便秘が良くなることがあります。「便が出にくい」「残便感がある」という症状の人は効果が出やすいです。姿勢を見直すことはすぐに出来ることなので、多くの患者さんに説明しています。
排便時の姿勢を変えると、直腸と肛門が直線状になって、腹圧が伝わりやすくなります。直腸は、肛門の近くにあって、腸に巻き付いている筋肉(恥骨直腸筋)によって前方に引っ張られ、クの字型になっています。恥骨直腸筋が腸をお腹側に引っ張ることによって、普段は便が漏れないようになっています。
排便の時にいきむと、恥骨直腸筋が緩んで直腸が直線的になります。そして腹圧によって便が肛門から押し出されるのです。便を出しやすくするためには、腸がなるべく肛門に向かって直線的になることが望ましいです。
フランスの彫刻家、オーギュスト・ロダンが1902年に制作したブロンズ像「考える人」をご存知の人は多いのではないでしょうか。「考える人」の姿勢をとることで、直腸の角度が緩やかになり便が出やすくなります。正しい姿勢というと、背筋を伸ばすことを考えてしまいますが、トイレでは少しだらしない姿勢の方が便は出やすくなります。排便時はこの「考える人」の姿勢がお薦めです。
トイレに足台を置いてみる
排便姿勢を工夫する方法として、足台も有効です。20cmほどの高さの足台を便座の近くに置き、足を乗せます。この時、足はしっかりと足台の上に乗せて、踏ん張れるようにしましょう。つま先だけ乗るような狭い台や、バランスが不安定な台はよくありません。
足台を置くことで、膝の位置が高くなり足をお腹で抱えるような形になります。これによって「考える人」のポーズと同じように、腸が肛門に向かって直線的になり、恥骨直腸筋が緩みやすくなります。その結果、便が出やすくなるのです。
排便をスムーズにするための専用の足台が市販されています。最初に発売されたのが「スクワティポティ」という製品です。特殊な工夫があるわけではないのですが、便座に収まりやすいように、足台の形状がU字型になっています。
トイレ専用の足台を購入しなくても工夫して高さを持たせることはできます。まずはお風呂用の椅子などを使って試してみるのはいかがでしょうか。簡単なものなら100円ショップなどでも売っています。試してみてうまくいくようなら、専用の足台を買ってもよいかもしれません。
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