最新記事

セックス

韓国男子、性との遭遇 日本のAVから性教育での仏「過激」映画まで

2019年9月11日(水)18時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)


パク・チャヌク監督の『渇き』予告編 シネマトゥデイ / YouTube

韓国は規制が厳しいとはいうものの、一般映画のなかには性器のモザイクなし上映が認められた作品も存在する。例を挙げると、ベルナルド・ベルトルッチ監督の『ドリーマーズ』、アン・リー監督の『ラスト、コーション』、スタンリー・キューブリック監督の遺作『アイズ ワイド シャット』などが有名である。韓国映画のなかでは、鬼才パク・チャヌク監督の『渇き』が有名だ。人気俳優ソン・ガンホのモザイクなしの全裸が大きな話題となった。

しかし、性器露出といえば、韓国内初の「等級保留」審議を受けた映画『LIES/嘘』(チャン・ソヌ監督)だろう。1999年に制作され、第56回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に韓国映画として12年ぶりに正式出品されたものの、その後韓国内のレーティングが保留されたため公開ができなくなってしまった。その後2回の修正が行われてやっとR-18作品として国内上映が認められた問題作だ。

このように問題視されながら封切られる映画は、性器露出を認めるべきか否かが毎回大きな話題となるため、映画のマーケティング会社はこれを狙ってわざと問題を大きくする場合もある。実際、『LIES/嘘』の韓国内正式ポスターでは「20世紀が拒否した映画、21世紀にようやく公開される!」といったキャッチコピーを載せ、規制によって公開が遅れたことを逆手に取ったプロモーションが印象的だった。

性教育の授業で「過激」な映画を上映

このように、AV業界や性器露出シーンが話題になる世の中で、今後「性の在り方」をどのように子供たちに正しく伝えるかは、重要な問題になるだろう。そんななか、韓国・光州市にある中学校での出来事が、警察を巻き込む騒動へと発展し波紋を広げている。

ある中学教師が性教育授業中に、『Oppressed Majority』という11分間のフランス短編映画を上映したのだ。これが授業に認められた性教育教材ではなかったとして、光州南部警察は9月3日この教師を警察に呼び調査をした。

映画の内容は、「もしも男女が入れ替わった世界だったら......」という立場を入れ替えて問題点を明確にする"ミラー効果"と呼ばれる手法を用いたフィクションで、ある男性の1日を描いている。男性は出勤中に不良の女性たちにセクハラを受け、凶器をちらつかされながら数人に性的暴行を受ける。彼は警察に被害届を出し、その後奥さんが彼を迎えに来て家に帰るまでの話だ。

不良女性の一人が立ちションをするかのように、路上で排泄するシーンがあったり、警察ではレイプの状況を説明すると女性警官にからかわれたり、現在の女性蔑視の問題を男女入れ替える手法で皮肉たっぷりに表現している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中