最新記事

レゴのすべて

「暗黒時代」の大人たちへ、超ディープなレゴの世界へようこそ

Everything Is Awesome

2018年11月22日(木)17時30分
アビゲイル・ジョーンズ(本誌シニアライター)

創造力と根気を糧にブロックの世界は無限に広がる(映画『ビヨンド・ザ・ブリック』より) COURTESY THE TRIBECA FILM FESTIVAL

<2014年に公開されたレゴのドキュメンタリー『ビヨンド・ザ・ブリック レゴのブリッキュメンタリー』。監督2人は12カ国でロケを行い、AFOL(大人のレゴファン)のマニアックさに光を当てた>

<ニューズウィーク日本版 2014年5月27日号掲載>

LEGOmook_cover240.jpg

※レゴブロック誕生60年を記念した特別編集ムック「レゴのすべて」が発売中。その歴史から製造現場の舞台裏、ミニフィギュア(ミニフィグ)誕生秘話、人気シリーズの紹介まで、本拠地デンマークでも取材を行ってレゴの魅力に迫った。

※現在、プレゼントが当たる「#レゴのすべて」SNSキャンペーンを実施中(11月30日23:59まで)。抽選で100名様に、レアな「レゴ ニンジャゴー カイのファイヤードラゴン【30422】」をプレゼントします。キャンペーンの詳細はこちら。

3歳の姪が遊びに来た日、私はリビングでパステルカラーのレゴブロックに囲まれて、お姫様のお城作りに熱中していた。テーブルには小さい人形や動物を中心に、さまざまな形やサイズのブロックが散らばっていた。この丸いやつは花のつもり? 緑色のは葉っぱ?

とにかく私は、目にすることすら何十年ぶりの玩具にすっかり夢中になっていた。それも姪をとっくに寝かし付けた後、深夜近くに独りきりで。

私だけじゃない。1958年にデンマークで誕生した小型のカラフルなブロックは、子供向けの組み立て玩具の枠を超え、今では大人も熱中させるまでになっている。建築家やアーティストにインスピレーションを与え、数学者を悩ませ、国境を超えたファンのコミュニティーを生み、自閉症児の治療法に革新をもたらしてさえいる。

4月にニューヨークのトライベッカ映画祭で上映された『ビヨンド・ザ・ブリック レゴのブリッキュメンタリー』はそんなレゴの軌跡を追った新作ドキュメンタリー(※編集部注:現在は公開されていない)。監督はダニエル・ユンギーとキーフ・デビッドソンだ。

「とても大きなテーマだ。まるで『英語』というテーマで映画を作るような感じだった。どこから手を付けるか、それ以上にどこで終わるか」とユンギーは言う。

映画祭翌日、ユンギーとデビッドソンはマンハッタンの会議室でレゴブロックの山を前にしていた。赤、黄、緑、青、黒、白、ピンクも少々。

「絶大な人気があって根強いファンがいるだけに責任も感じた。子供にも大人にも、レゴに詳しくない人にも詳し過ぎる人にもアピールするストーリーにしないと」とユンギーはAFOL(大人のレゴファン)を意識して言う。デビッドソンも同調する。「本当のファンが気に入らないようじゃ困るからね」

マニアックな世界も紹介

2人は奇抜な発想と敬意を持ってレゴの世界にアプローチ。12カ国でロケを行い、AFOLのマニアックさに光を当てた。

シアトルでは毎年恒例のAFOLのイベント「ブリックコン」で、AFOLの作品展やレゴボートレース、各種コンテストが行われている。映画では「通」でない人のためにKFOL(子供のレゴファン)、MOC(自分の作品)、LUG(レゴユーザーグループ)など初歩的なファン用語の解説も付く。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中