最新記事

健康

若返りも、働き方改革も「脳のフィットネス」でうまくいく

2018年2月15日(木)18時24分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Chombosan-iStock.

<例えば、マルチタスクは逆効果で、むしろ生産性が落ちる――。日本ではまだ知られていないことが多いが、身体の健康と同じくらい、脳の健康に気を遣うことが一般的になりつつある>

近年、「脳のフィットネス」が注目を集めている。アメリカでは身体の健康と同じくらい、脳の健康に気を遣い、より効率的に働く脳を手に入れることが一般的になりつつある、とも言われる。その流れを受けて、日本でも、脳に関連する多くの書籍が出版されている。

だが、往々にして「脳関連の本」はページ数が多く、耳慣れない用語が次から次へと登場してきて、読み進めるのも一苦労だ。脳を健康にするための本を読んで、脳が疲れてしまっては意味がない。なんとか読了しても、「結局、何が重要なのか」が頭に残っていないことも多いのではないだろうか。

脳のフィットネス完全マニュアル』(斉藤裕一訳、CCCメディアハウス)は、分厚い本に萎縮してしまう人でも手に取りやすい、「脳に良いこと」をコンパクトにまとめたガイドブックだ。新書に近い小型サイズで175ページ。文章も簡潔で、日々の生活で「実用」できる造りになっている。

自分を実験台として積み重ねる

本書の著者は、企業幹部から催眠療法士に転身したという異色の経歴を持つフィル・ドブソン。今では世界中の企業経営者を相手に、脳や神経科学に関する知見をビジネスに活用する方法を指導している。脳をよりよく働かせることによって、生産性を上げ、スキルを伸ばし、仕事の効率を高めるのだ。

著者は、脳のフィットネスに影響する要因を5つに分類した「SENSE(センス)モデル」を開発。5つの要因それぞれについて、実践的なポイントを解説している。SENSEとは「ストレス(Stress)」「運動(Exercise)」「栄養(Nutrition)」「睡眠(Sleep)」「経験(Experience)」の5つ。それぞれの要点を簡単に紹介すると......


ストレスをうまくコントロールして(毎朝10〜20分の瞑想)、適度な運動をし(毎朝20分の軽い運動と、週3回の有酸素運動)、脳が好む食事をとって(1日2リットルの水を飲み、地中海式ダイエットで糖質を減らす)、毎日7〜9時間の睡眠を確保する。さらに、新しい外国語や楽器を習って、積極的に人と交わるようにする

――といったものになる。

これらを全て一度に実践しようとすると大変だが、身体のフィットネスと同じで、日常の小さな積み重ねによって、健康的な脳がつくられていくのだ。

著者もこう言っている――「まず、今までと違うことをすぐに試し、それを学習のプロセスと考えてみてもらいたい。実験を自分自身のものにして、うまくいっていることの上に積み重ねていってほしい」。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾン、インディアナ州にデータセンター建設 11

ビジネス

マイクロソフト出資の米ルーブリック、初値は公開価格

ビジネス

東京都区部CPI4月は1.6%上昇、高校授業料無償

ワールド

北朝鮮の金総書記、25日に多連装ロケット砲の試射視
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中