最新記事

銀行

「紙なし、窓口もなし」 三菱UFJ、20年後リアル店舗ゼロをにらんだ新型店の実力度

2019年2月10日(日)11時33分
藤原宏成(東洋経済 記者) *東洋経済オンラインからの転載

低金利時代に生き残りをするためメガバンクの雄、三菱UFJも新しい試みをしている Toru Hanai - REUTERS

整理券を受け取り、紙の書類に記入し、銀行員のいる窓口に行って手続きをする――。これまで当たり前だった、そんな銀行店舗のあり方が大きく変わろうとしている。

三菱UFJ銀行は1月21日、新コンセプト店舗「MUFG NEXT」を学芸大学駅前(東京都目黒区)にオープンした。三菱UFJフィナンシャル・グループでチーフ・デジタル・トランスメーション・オフィサー(CDTO)を務める亀澤宏規執行役専務が「デジタライゼーション戦略の中でも重要なファーストステップ」と言うように、デジタル技術を存分に活用した。

新型店で「新しい銀行体験を」

受付は専用のタブレット端末で行い、従来の店舗で行われていたような書類の記入は必要ない。テレビ電話を通じた相談窓口「LINKS」や税金や公共料金などの支払いも可能なATM「STM」などで取引を進める流れだ。

店舗の中心にはインターネットバンキングを利用するためのタブレット端末が設置されている。店舗には5人のコンシェルジュが常駐し、タブレット端末などの操作方法をサポートする。

インターネットバンキングを使えば、いつでもどこでも取引ができ、手数料も安く取引ができる。一方でネットになじみのない高齢者層にはハードルが高い。三菱UFJ銀行チャネル企画部の荻窪大介上席調査役は、今回の店舗で「新しい銀行体験をしてもらい、簡単に早くできるというメリットを実際に感じてもらいたい」と語る。次世代店舗には、ネットバンクへの移行促進という狙いが込められている。

学芸大学駅前店は当面、2階部分に従来型の窓口を残して運営する。同店の窓口の人員は現在約20人。次世代店舗での取引が主流になれば、窓口は不要になり、店舗の人員は半分以下で済む。

重要なのは、このようなデジタル技術を活用したサービスを顧客が受け入れるかどうかだ。荻窪氏は「今回の店舗が完成形ではなく、進化を続ける」という。その意気込みは店舗にも見て取れる。今回の店舗には13台のカメラが設置され、人数や年齢、店舗のどこをどのように移動したかなどを分析する。どのような層の顧客がどんな理由で店舗を必要としているか、待ち時間を減らすために必要な機器の配置や効率の良い動線を模索する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日仏、円滑化協定締結に向けた協議開始で合意 パリで

ワールド

NATO、加盟国へのロシアのハイブリッド攻撃を「深

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比1.6%増 予想と一

ワールド

暴力的な抗議は容認されず、バイデン氏 米大学の反戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中