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岐路に立つフォトジャーナリズムの祭典

Visa pour l'Image 2013

Photographs by Courtesy of Visa pour l'Image

岐路に立つフォトジャーナリズムの祭典

Visa pour l'Image 2013

Photographs by Courtesy of Visa pour l'Image

【戦闘】シリア軍の爆撃の後、燃える廃墟の前にたたずむ男性)。郊外はもぬけの殻になり、戦闘員たちだけが残っている(2012年1月27日、シリア・ダマスカス)© Goran Tomasevic / Reuters

 1989年に南フランスのペルピニャンで始まったフォトジャーナリズム祭「ビザ プール イメージ」が今年で25年目を迎え、同地で今日から9月15日まで開催されている。写真祭では展覧会、スライドショーの野外上映、ワークショップなどが行われ、「プロフェッショナル・ウィーク」と呼ばれる会期第一週目には、世界中から集まる報道写真業界の関係者に打合せや作品レビュー、ディスカッションの場が提供される。

 新聞や雑誌などの紙媒体の衰退により、報道写真のビジネスモデルが激変し、フォトジャーナリズム業界は縮小を余儀なくされている。それでも世界中で多くの人々がこの分野で写真家を志す現状に、写真祭のディレクターを務めるジャンフランソワ・ルロワは「私たちはそれを手放しで喜んでよいのだろうか。たしかに撮影のテクニカルな部分を高めることはそれほど難しくはないが、それと一人前のジャーナリストになることはまったくの別問題だ」と複雑な胸の内を語る。

 ルロワは「たとえ写真としてそれなりに完成されたものが撮影できるとしても、被写体の背後にあるストーリーまで作品に込めることは誰にでもできることではない」と言う。四半世紀の節目にあたり、報道写真祭としても大きな岐路に立つ今回は、フォトジャーナリズムの将来に新しい指針を導き出すことができるのだろうか。

関連リンク:
Visa pour l'Image(詳細は写真祭のサイトでご確認ください---英語、フランス語、スペイン語、カタルーニャ語)

編集部ーー片岡英子

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