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ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
ゴールドマン、「神々の黄昏」?
もううやむやになったのかと思っていたオバマ政権とウォール街の対決が、突如再開した。先週金曜日、SEC(米証券取引委員会)がゴールドマン・サックスを証券詐欺容疑で提訴すると、週末のニューヨークから週明けの東京まで、市場を「ゴールドマン・ショック」が駆け巡った。
単純に言うとどんな容疑なのか。ゴールドマン・サックスは、サブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅ローン)を組み込んだ「アバカス(そろばん)」というファンドを作って売った。それも、ヘッジファンドを運用する投資家Aが高値で売り抜けようとしているのを知りながら、何も知らない投資家B(といっても、プロの機関投資家たち)には「儲かりますよ」と勧めて損をさせた。投資家Bの犠牲の上に、Aとゴールドマンが儲かる仕組みだった、というのだ(ゴールドマンは、アバカスでは9000万ドルの大損をしたと反論している)。
容疑を裏付ける証拠の1つとしてSECが公表したのが、アバカスを投資家に販売していたゴールドマン・サックスの花形トレーダー、ファブリス・トゥール(31)の電子メール。サブプライムバブル崩壊直前の07年1月に友人に宛てて書いたものだ。
「レバレッジ(自己資本に対する負債の倍率)はますます高くなり、すべてが倒壊する寸前だ。ただ1人生き延びられそうな『ファビュラス・ファブ(サイコーの自分)』は、自分で作った複雑でレバレッジが効いた異形の市場のど真ん中に立っている。その破壊力は彼自身にも測り知れない!!」
万能感に酔うその姿は、まさに「サブプライム時代のマッドサイエンティスト」(ニューヨーク・タイムズ)だ。同紙によれば、07年前半には住宅ローン関連の証券化商品を扱うトゥールらの部署をロイド・ブランクファインCEO(最高経営責任者)以下の最高幹部たちが頻繁に訪れ、時には数時間も話し込んでいた。神にも等しいウォール街の経営幹部が役員専用フロアから「降臨」するのは滅多にないことだというから、何をしていたのか興味は尽きない。
しかもゴールドマン攻めはまだ始まったばかり。上院常設調査小委員会のカール・レビン委員長(民主党、ミシガン州)は4月27日、ゴールドマン・サックスを含む投資銀行が金融危機に果たした役割を追及する公聴会を開く予定だ。ある議会幹部が本誌米国版に語ったところによると、レビンのスタッフはゴールドマン・サックスの「特定の人々と特定の行為を結びつける」新たな証拠資料を発見した。それも「ゴールドマンにとってもう1つの大きな爆弾」になる資料だという。
レビンは上院民主党のなかで最も熱心な金融改革論者の一人。委員会の調査権限も強力だ。ドラマは来週、更なる盛り上がりを見せるかもしれない。
──編集部・千葉香代子
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