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出演料10億円の美女ファン・ビンビンのゴシップが民主化の兆し?
中国映画界きってのスター女優ファン・ビンビンだが、脱税の疑いが浮上した(昨年のカンヌ映画祭で) Stephane Mahe-REUTERS
<著名司会者が勇気を持って告発した、中国映画業界の脱税ゴシップ。その経緯と、社会的インパクトを説明しよう>
こんにちは、新宿案内人の李小牧です。今回は中国映画業界の脱税ゴシップと中国民主主義の可能性についてお伝えしたい。
今、中国で最も注目を集めているのが崔永元(ツォイ・ヨンユアン)のリークだ。
崔永元は中国中央電視台(CCTV)の著名司会者。2013年に退職して、現在は中国伝媒大学で教壇に立っている。その彼が激怒する事件が起きた。
発端は随分と昔の話になる。2003年にコメディ映画『手機(携帯電話)』が公開された。ある司会者が携帯電話を家に置き忘れたことから不倫がばれて、ドタバタ劇が始まっていくという物語だ。この司会者のモデルが崔だった。担当していた番組の降板も映画同様に不倫だったのではないかとの噂が広がり、崔は相当頭に来ていた。
そして、この2018年になって続編『手機2』が制作されることが発表された。崔は堪忍袋の緒が切れたようで、監督の馮小剛、脚本の劉震雲を激しく批判するばかりか、ついに映画界の「潜規則」(暗黙のルール)の暴露を始めた。5月末のことだ。
問題となったのが「陰陽合同」(表と裏の契約)。中国当局は高騰する映画スターの報酬を問題視し、2017年9月に俳優に支払う出演料は制作費の40%以内にしなければならないとの規定を発表したが、この規定は有名無実化していると噂されてきた。
崔は『手機』『手機2』の主演女優、ファン・ビンビンの契約書を入手し、SNSで公開した。表向きの契約書では出演料は1000万元(約1億7000万円)とされているが、実際にはもう1つ、裏の契約書があり、5000万元(約8億5000万円)の報酬が明記されている。合計で6000万元(なんと約10億2000万円!)が本当の出演料だという。
ファン・ビンビンといえば、『アイアンマン3』や『X-MEN:フューチャー&パスト』などのハリウッド映画にも出演した中国映画界きってのスター女優だ。当然、中国では大騒ぎになっている。
こうした「陰陽合同」は映画制作費に関する政府規制に違反しているのみならず、脱税の疑いもある。沸騰する中国世論を受け、6月3日、中国国家税務総局は映画業界の陰陽合同と脱税問題を調査する方針を発表。波紋が広がっている。
2004年に始まった崔永元との不思議な縁
実は、私と崔には不思議な縁がある。著書『歌舞伎町案内人』(角川書店、2002年)のヒットで、私は中国でも知られる存在となった。2004年に私は「北京青年週刊」誌で大きく取り上げられたのだが、同じ号に崔と『手機』の記事が掲載されていたのだ。その雑誌を見て、崔は私のことを知り、気に止めるようになったという。
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