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衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機
衆院3補選の低投票率は日本の民主主義の危機 Kim Kyung-Hoon/REUTERS
<28日投開票の衆院3補選は「自民全敗」という衝撃の結果に終わった。今回の選挙の特徴は、パー券裏金問題に「お灸を据えたい」意識ゆえとみられる棄権が多かった点と、「選挙妨害」動画の横行。選挙によるコミュニケーション不全は民主主義の土台を蝕みかねない>
28日に行われた衆院3補選(島根1区、長崎3区、東京15区)は「自民全敗」という結果に終わった。保守王国・島根1区で立民の亀井亜紀子候補が約2万5000票差をつけて自民新顔に圧勝したことは衝撃を与えている。
自民党は島根1区以外では候補者擁立を見送る 「不戦敗」を選択していたとはいえ、3選挙区の議席はこれまで自民党が占めていた。実質的に「全敗」といえる厳しい結果であり、党総裁選前の解散も視野に入れていた岸田政権に大きな打撃を与えることになろう。
自民敗北の背景に「政治とカネ」の問題、派閥パーティー券の裏金問題があることは言うまでもない。
岸田首相が宏池会(岸田派)の解散を表明したのが1月18日。裏金問題の舞台となった派閥を解消する声は各派閥(麻生派を除く)からも口々に挙がった。ところがそれから3ヶ月が経った今でも、自民党派閥の中で政治団体の解散届を総務省に提出したのは森山派(近未来政治研究会)だけ。
政治資金規正法改正の国会審議がようやく始まったとはいえ、自民党における党改革の本気度を有権者は「冷ややかな目」で見ている。その証左の一つが今回の投票率だろう。長崎3区で35・45%、東京15区で40・70%、島根1区で54・62%と、全ての選挙区で過去最低記録を塗り替えた。
この中で注目すべきは東京15区だ。東京の下町である江東区のみで構成され、複数の自治体(特別区)をまたぐことがない。無党派の多い都会でありながら「地元の政治」との関連性が顕著に現れやすい選挙区と言える(東京での単一区は他に東京17区(葛飾区)がある)。
東京15区における過去5回の総選挙投票率は平均して60・33%。今回の補選投票率40・70%は、19・63ポイント相当の下落だ。補選の投票率は一般的に総選挙と比べて低めに出る傾向にあり、概ね15ポイント前後下落するのが通例。それを踏まえても、地元有権者の「冷ややかな目」が透けて見える(ちなみに島根1区の下落幅は約10ポイントに過ぎないが、細田博之前衆議院議長が君臨していた島根1区は長年8割台の投票率を誇る保守の牙城であり、投票率全国1位の常連という特殊事情がある)。
東京15区は9候補が乱立し、マスメディアによる報道とSNSにおける動画配信が大きな注目を集めていた。にも関わらず、これだけの低投票率にとどまったのはなぜか。
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