トヨタのHV、需要急増で世界的に供給逼迫 納期が長期化

3月31日、トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)の需要が急増しており、米国、日本、中国、欧州などの主要市場で在庫が逼迫していることが関係者の話で明らかになった。写真は2022年7月、ニューデリーで披露されたトヨタのアーバンクルーザー・ハイランダー(2025年 ロイター/Aditi Shah)
Aditi Shah Norihiko Shirouzu
[ニューデリー/オースティン 31日 ロイター] - トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)の需要が急増しており、米国、日本、中国、欧州などの主要市場で在庫が逼迫していることが関係者の話で明らかになった。納入まで数カ月待ちとなるケースも見られる。
LMCオートモーティブによると、プラグインハイブリッド車(PHV)を含むHVの世界販売台数は、過去5年間で570万台から1610万台へと約3倍に増加した。
欧州のある関係者は新型HVの納車期間が平均60─70日と、2020年の約2倍に延びていると語った。トヨタによると、欧州では特に「ヤリスクロス」HVや「RAV4」PHVの需要が強く品薄となっている。
トヨタのウェブサイトによれば、日本では多くのモデルで納車まで2─5カ月かかっている。
別の関係者は、米西海岸のあるディーラーでは「プリウス」が2月中旬に完売し、「カムリ」HVも在庫が数台しか残っていないと明らかにした。
また、トヨタにとって重要な成長市場であるインドでは、納車期間は昨年より改善しているものの、車種によっては依然として2─9カ月かかると別の関係者は語った。
トヨタは声明で、HVの需要が「過去1年間に全地域で大幅に増加」しており、生産を拡大するために全力を尽くしていると説明した。過去1年間で納車までの期間を短縮したと述べた。
自社およびサプライヤーのHV部品の生産能力は、トヨタの年間生産計画と車両組み立て能力に見合ったものであるとしている。
<供給の混乱>
関係者2人は、HVのパワートレインに使用される部品の供給逼迫が納入遅延の原因だと指摘する。HVのパワートレイン部品は主に日本で生産され、海外の組み立て拠点に供給されている。
ある関係者によると、アイシンに納入する部品に使われる磁石の不足が課題となっている。アイシンはサプライヤーからローターとステーターを確保できず、トヨタへのハイブリッドモーターの納入が遅れたという。
またデンソーでも、2次、3次サプライヤーから部品供給が滞った影響で、インバーターの納入が遅れていると別の関係者は語った。トヨタはインドでデンソー以外のサプライヤーに目を向ける可能性があり、インドでインバーターを製造することを検討しているという。
トヨタのインド法人、トヨタ・キルロスカ・モーターのバイスプレジデント、バリンダー・ワドワ氏は声明で、サプライチェーンのボトルネックが解消され、納車までの待ち時間が「大幅に」短縮されたと明らかにした。
同社は最近、年間3万2000台の車両を生産できる能力を増強し、さらに10万台を追加生産するための投資を行っていると述べた。