コラム

国連選定「電子政府世界1位」の韓国で国民番号制度見直しの動き、日本のマイナンバーは?

2015年09月02日(水)21時45分

電子政府 2014年の国連調査では日本が電子政府評価で6位に入っているが……

 日本でいよいよ2015年10月からマイナンバーの通知が始まる。いち早く、マイナンバーのような住民登録番号を導入し、行政機関や地方公共団体などで効率よく個人情報を管理・情報連携している国といえば韓国である。

 住民登録番号を活用して国民の生活をより便利にした代表的な事例が電子政府である。日本のマイナンバーポータルのようなサイトだ。国連は2年に1度、世界中の電子政府を評価して順位を付けるが、韓国は2010年、2012年、2014年、3回連続1位に選ばれた。

 電子政府は行政機関向け、企業向け、国民向けと入り口が分かれている。国民向け電子政府である「民願24」を利用すると、区役所や行政機関を訪問しなくても各種届け出を行い、書類を発行できる。

 転入・転出届け出、住民票、印鑑証明、建築物管理台帳、土地台帳、自動車登録、各種税納付証明、事業者登録証明、所得証明、全国大学の卒業証明書、出入国証明書、外国人登録事実証明書、兵籍証明書、障害者証明書などなど、取引や就職など日常生活で必要な3000種類もの届け出をWEBかアプリで行い、自宅で1200種類もの証明書を印刷して使えるようになった。電子政府を利用すれば、窓口で発行するより手数料も安い。住民票や戸籍票は英語でも発行できる。

 韓国行政自治部(部は省にあたる)の調査によると、16歳から74歳のインターネットユーザーの80.3%は1年以内に1回以上電子政府サービスを利用したことがあるという。2013年末時点ですでに各種届け出と書類発行の77%が電子政府経由で行われたほど定着した。

 行政機関も電子政府を利用するので、パスポートの申請も添付書類はいらない。身分証を持って窓口に行き、写真を撮って手数料を払うだけで手続き完了となる。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

関税のインフレへの影響、まだ不透明=クーグラーFR

ワールド

G20南アフリカ「斎藤副大臣が代理出席」、加藤財務

ビジネス

全国CPI、1月コアは+3.2% 生鮮食品主導で総

ワールド

ポーランド首相、対ロシア国境でEUの防衛体制強化を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 7
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 8
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 9
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story