コラム

マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無料公開するのか」

2024年05月14日(火)16時00分

【2020年にNVIDIAの最新半導体H100を買い集めた理由】

(07:18)
レコメンデーション機能でTikTokに追いつきたかったから。(AIの基盤モデル開発競争の激化でNVIDIAの半導体が品薄になり、数多く買い集めた企業が有利になるという)未来が見えていたからではない。

【AGIを目指すようになった理由】

(11:37)
最初はプログラミング機能含むいろいろな機能を持つAGIを作ろうとは思っていなかった。FacebookやInstagramのユーザーが、プログラミングに関する質問をするとは思えなかったから。

でも1年半ほど前からAIがプログラミング能力を持つことの重要性に気づいた。プログラミングの考え方をAIが持てば、AIは論理的思考ができるようになり、いろいろな領域の質問に上手に答えることができるようになった。

ビジネスパーソンがクライアントさんと対話するときも、単にクライアントの質問に答えるだけではだめで、幾つもの会話のステップを先読みして対話を進めていく必要がある。お客さんの求めているものは何なのか、お客さん自身も分かっていない場合がある。そんな場合は、目の前の質問だけではなく対話の全行程を俯瞰する能力が必要。それは論理的思考能力ということになる。ということで結局AGIを作らなければならないということに気がついたんだ。

【AI進化の方向性】

(14:29)
AIにいろんな機能を搭載していくことを考えている。マルチモーダリティ(複数のデータの種類のこと)はわれわれが注力している重要な機能の1つ。

最初はテキスト、写真、イメージ。そして動画。3Dデータも重要。

それとわれわれが注力するモダリティ(データの種類)で、ほかの人があまり取り組んでいないものに、感情理解がある。人間の脳の大部分は、感情表現を理解するために存在する。写真や動画の内容理解で十分だと思うかもしれないけど、感情理解は写真、動画理解の中でも特別な領域。1つの独立したモダリティだと思う。

それに加えて論理的思考、メモリーなども進化させる必要がある。複雑な質問をすべてコンテキストウィンドー(短期記憶の機能)に投げ込めば問題解決するわけではないと思うから。ユーザーごとにカスタマイズされたメモリーを持つカスタムモデルも必要になると思う。

モデルの大きさに関しては、大きなものも小さなものも作っていく。サーバー上で動く大きなモデルも、スマートグラス上で動く小さなモデルも必要。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story