コラム

不可能と思われた「DX」にワシントンポスト紙が成功した理由

2020年10月23日(金)13時55分

同様にワシントンポスト向けに開発したコンテンツ管理ツールArc Publishingを他社向けにライセンス販売。年間売り上げが1億ドルに手が届きそうなほどの大きな収入源に成長している。同ツールは、動画コンテンツ管理やモバイル向け配信などの複雑なタスクを簡単に管理できるツールで、大手掲示板Redditや大人気動画SNSのTikTokなどにも既に導入されているという。

最初はワシントンポストの買収に乗り気ではなかったとされるベゾス氏だが、その後、同紙のDXプロジェクトに愛着を持つようになったようだ。インタビューに対し「私が90歳になったとき、ワシントンポストでの仕事が、自慢の業績の1つになるだろう」と語っている。同氏にとっても、このプロジェクトは試練の連続だったのかもしれない。

アナログ時代には不可能だった大きな目標を掲げることで社員の士気を高め、オーナーが本気でDXに取り組む。そうすることで、代表的なアナログ企業であっても、デジタル時代に適応し成長することが可能。それを示したDXプロジェクトの代表例となったようだ。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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