- HOME
- コラム
- 湯川鶴章のテクノロジーフィクション
- 精鋭集団でゾーンに入る、Netflixの究極の企業…
精鋭集団でゾーンに入る、Netflixの究極の企業文化 新刊『No Rules Rules』レビュー
そして超優秀な人材だけの組織のパワーを最大化させるために、互いに批判的なアドバイスを口にできる企業文化を作る。これが2つ目のポイントになる。
相手が上司であっても社長であっても、相手のためになるアドバイスであれば、公の場であってもその場でそれを口にできる文化。Netflixは、その文化を維持するために、いろいろ工夫しているのだという。
大事なのは、アドバイスを言うことが、自分のためではなく、相手のためになっているのかどうか。自分の不満をぶつけたい、というのは自分のための動機だ。そうした動機が少しでも含まれるアドバイスは認められないという。
優秀な人でも、人格的に未熟で、こうしたアドバイスがうまくできない人がいる。たとえその人がどれだけ優秀であったとしても、そうした人には会社を辞めてもらうようにしているという。
超優秀な人材が、超優秀な人材からアドバイスを受け、互いに切磋琢磨して能力を伸ばしていく。その結果、企業全体の能力が劇的に伸びていくのだという。
コロナ禍の中、会社を急いでデジタル化しなければならない。その思いからデジタルトランスメーション(DX)を進める日本企業が増えているが、大事なのはデジタル化ではなく企業文化。社会貢献し業績を上げるには、企業文化をこれからの時代に合わせなければならない。デジタル化はそのためのツールにしか過ぎない。
Netflixの企業文化は、一人一人が自主的に動き、そうした人たちが組織化することで、一人一人の能力をはるかに超えた力を発揮する形になっている。少し前に流行った「ティール組織」という組織形態に通じるものがあるのかもしれない。
日本のビジネス風土や商習慣とは異なるのでNetflixのやり方をそのまま取り入れるのは難しいかもしれないが、目指すべき企業文化の最終形態として参考にできるところは多いかもしれない。
日本語版は『No Rules(ノー・ルールズ)』のタイトルで10月22日に発売予定
リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー
土方 奈美 訳
日本経済新聞出版
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)
AppleとOpenAIの提携は何を意味するのか 2024.06.13
AIは今後も急速に進化する? 進化が減速し始めた? 2024.06.05
AI自体を製品にするな=サム・アルトマン氏からスタートアップへのアドバイス 2024.05.29
汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏最新インタビュー 2024.05.27
マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無料公開するのか」 2024.05.14
AIエージェントの時代はどこまできているのか 2024.05.07
生成AIでネット広告はどう変わるのか 2024.04.25