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テック大手が軒並みスマートスピーカーに参入する理由
戦いは長期戦になる。なのでクラウドAIの前哨戦であるスマートスピーカーは、それほど売れなくても、実は構わないのかもしれない。
勝負は、自社のクラウドAIを何人のユーザーが利用してくれるか。自社のクラウドAIにつながるスピーカー、自動車、おもちゃ、家電を利用する消費者の数が多ければ、それでいい。
日本ではスマホの利用者が数千万人いると言われるが、クラウドAIにつながったデバイスの利用者の総数がスマホのユーザー数を超えれば成功。そのときパラダイムは、スマホからクラウドAIに移行するのである。
家電メーカーのほうが有利?
勝負の本質がスマートスピーカーではなくクラウドAIであるならば、実は参入しようというプレーヤーはもっと多いことが分かる。
中国の家電大手美的集団は、ボイスで家電機器を操るコンセプトムービーを今年春に公開し、注目を集めた。
そこにはスマートスピーカーはない。ムービーに登場する美的集団の家電機器すべてが音声に対応しているのだ。
同社のDongyan Wang氏は言う。「ユーザーのニーズを知るのに、スマートスピーカーは必要ない。帰宅したばかりのユーザーに『疲れてない?』て聞いても『だいじょうぶ』と答えるかもしれない。でもすぐにお風呂に入ったり、ソファーに腰掛けて動かなかったりすれば、疲れていることは明らか。つまりスマート家電のほうが、スマートスピーカーよりもユーザーニーズを正確につかむことができる。そういう意味で家電メーカーのほうが(スマートスピーカーを発売するテック大手より)有利なんだと思う」。
また同氏は「冷蔵庫や洗濯機にボイス機能を乗せるメーカーもあるが、大型家電は10年に一度しか買い換えない。ボイス搭載したからといって買い換える人などいない。それより、ミキサーやトースターなど、低価格なキッチン家電にボイス機能を搭載するほうがいい」とも言っている。
デバイスの形は違えど、同社がクラウドAIの覇権を狙っていることが分かる。
ソニー、リクルート、ヤフーも
実は国内だけ見ても、クラウドAIの領域に参戦しようと準備を進めている企業は少なくない。
ソニーは、ボイスで操作するテレビ、ハンズフリーTVを開発中だという。テレビのリモコンってボタンが多いし、録画操作などは本当に面倒。すべての操作がボイスでできるようになれば、喜ぶユーザーは多いことだろう。
ソニーは早くからGoogleと組んで次世代テレビを手がけてきたので、ハンズフリーTVにはGoogleのクラウドAIが搭載されるものと見られる。一方で、今年2月にはソニーエージェントテクノロジーとLINEとが、クラウドAIプラットフォームで提携すると発表している。共同で、スマートプロダクトを提供していくのだという。
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