コラム

AIはどこまで進んだか?──AI関連10の有望技術と市場成熟度予測

2017年03月02日(木)15時20分

仕組みは比較的単純で、「こういうデータとこういうデータがあれば、こういう記事を書く」というルールを多く用意しておくというもの。今年の売上が12億ドル、去年の売上が10億ドルというデータを入力すれば、「◯◯会社は今年度の売上が前年比20%増の12億ドルになったと発表した」という文書が自動的に生成されるというものだ。

下の動画を見ると、2年前より応用例が増えている。ヘルスケアデータをベースに健康アドバイスをするアプリなどにも、使われているようだ。


Forresterのグラフでは、まだこの領域は誕生したばかり。3年から5年で次のフェーズに移行する。とはいうものの、次のフェーズも、まだ市場がどうなるかは分からないというフェーズだ。

2年前の取材ではAutomated Insights社は、AIとは呼べないような単純な技術しか、まだ搭載していなかった。本格的なAIの搭載はこれから、ということろだった。

そういう意味で、Forresterは「AIとして、この領域はまだ未知数」という判断をしているのかもしれない。

深層学習プラットフォーム

機械学習の中でも深層学習(ディープラーニング)に特化したツールを用意するサービス。まだ始まったばかりの領域で、今後どのように発展していくのかは未知数。

このカテゴリーの中のベンチャー企業を幾つか見てみた。

DeepInstinct社は、サイバーセキュルティのためのツールを開発している。

Sentient Technologies社は、画像を認識し、同じような商品を提案する技術や、ウェブサイトのデザインを自動で検証する技術などを提供している。

一方で、ersats社は、クラウド上で実験できるディープラーニングのプラットフォームを展開していたが、クライアント企業のニーズが多様すぎることを実感し、今は受託開発、コンサルティングに切り替えているようだ。

将来的にはDataRobotなどの機械学習プラットフォームも、機械学習だけではなく、深層学習も提供するようになるのは間違いないと思う。だがしばらくは、それほどの精度は出ないかもしれない。なのでForresterは、このカテゴリーがまだ創成期にあり、次のフェーズに行くにもまだ3年から5年はかかる、と予測しているのかもしれない。


*より詳しい情報を知りたい方は、著者が主催する勉強会やオンラインサロンにご参加ください

・初心者OKビジネスマンのためのAI講座 なんど同じ質問をしても怒らないAIエンジニアが講師

・2歩先の未来を創るTheWave湯川塾

湯川鶴章オンラインサロン 湯川の日々の取材メモを全公開!

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マネタリーベース3月は前年比3.1%減、緩やかな減

ワールド

メキシコ政府、今年の成長率見通しを1.5-2.3%

ビジネス

EUが排ガス規制の猶予期間延長、今年いっぱいを3年

ビジネス

スペースX、ベトナムにスターリンク拠点計画=関係者
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story