コラム

AIはどこまで進んだか?──AI関連10の有望技術と市場成熟度予測

2017年03月02日(木)15時20分

AIを搭載した韓国SKテレコム製のサービスロボット(2月28日、スペインのバルセロナで開催された国際見本市)Paul Hanna-REUTERS

<米ハイテクリサーチ会社フォレスターの報告書から、AI技術の有望分野と現状、成長ポテンシャルを筆者が解説>

129161_4q (1).gif

Forrester Research, Inc. January 18, 2017

人工知能(AI)と一言で言っても、いろいろな産業分野がある。どの分野が今最も熱いのか。米調査会社Forresterが出した「Artificial Inelligence Technologies, Q1 2017」という報告書をベースに、考えてみたい。

この報告書は、機械学習プラットフォームや、AI用の半導体、自然言語処理、画像認識など、AI関連技術の市場ごとに現在の成熟度と、今後の成長の可能性を予測したもの。

グラフの中に描かれている3本の曲線は、市場規模の推移を記している。山が高い曲線ほど、市場規模が大きくなるという予測だ。

曲線上に表示されている「再生」「早送り」「一時停止」のようなマークは、それぞれの技術が次のフェーズに移行するまでにかかる時間を意味している。「再生」マークなら次のフェーズに移行するまで3年から5年。「早送り」なら1年から3年かかる、とう意味だ。

■AI向けハードウエア

AI向けハードウエア、特にディープラーニング向けの半導体は非常にホットな領域だ。

中でもNVIDIA(エヌビディア)は圧倒的強さを誇っている。(関連記事「人工知能の未来を読みたければNVIDIAの動きを追え」)

NVIDIA自体の株価も伸び続けているし、取引先企業でさえNVIDIAとの提携を発表するだけで株価が上昇するという状況。

こうしたNVIDIAの独り勝ち状態に待ったをかけようと、IntelがAI向けの半導体の開発に力を入れているほか、MicrosoftはFPGA、GoogleはTPUと呼ばれるAI向け半導体に、それぞれ注力すると宣言している。

Forresterによると、AI向けハードウェアは最も大きく伸びる曲線上にある。今は既に市場拡大期の後半のフェーズに入っているものの、今後5年から10年は成長が見込めるとしている。

■機械学習プラットフォーム

機械学習の各種ツールがこのカテゴリーに入るが、プラットフォームとして最も分かりやすいのが、DataRobotだろう。(関連記事「人工知能が万人のものに?米新興企業データロボットがヤバイらしい件」)

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落後切り返す、FOMC受け荒い

ビジネス

10月米利下げ観測強まる、金利先物市場 FOMC決

ビジネス

FRBが0.25%利下げ、6会合ぶり 雇用弱含みで

ビジネス

再送〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story