コラム

Amazonが、AIを人間の親友にする?「Alexa Prize」に要注目。

2017年02月14日(火)14時47分

アマゾン・ドットコムは今、雑談ができるロボットの技術を探している Kirillm-iStock.

音声アシスタントAmazon Echo(エコー)の大ヒットで、IT業界を震撼させている米Amazon。そのAmazonが次に開発しようとしているのが、人間の話し相手になってくれるロボット。そんなロボットが完成すれば、テレビ、ネットを凌駕する最強の広告メディアになり、EC事業者としてAmazonは不動の地位を得ることになる。果たして、Amazonの野望は実現するのだろうか。今秋には、その答えがでるかもしれない。

【参考記事】日本でもAmazon Echo年内発売?既に業界は戦々恐々

買収企業の技術を独り占め

なぜAmazonの次の戦略が分かるのかといえば、簡単な話。彼らは、ほしい技術があれば、開発コンテストを開催するからだ。

過去には、工場内のピックアップロボットの開発コンテストを開いている。そして優れた技術や企業が見つかれば、当然Amazonは買収するつもりだ。

買収された技術や企業はどうなるのか。Amazonは、工場内の自動走行ロボットのメーカーKivaSystemsを2012年に7億7500万ドルで買収している。同社は、Gapや、Walgreenなどの大手小売チェーン数社に自動走行ロボットを提供していたが、契約期間終了後は契約更新を拒否。Kivaの最新マシンは、Amazonが独り占めする結果になっている。

それがAmazonのやり方だ。

ソーシャルボット・コンテスト

そんなAmazonが昨年9月から「ソーシャルボット(雑談型ロボット)」の開発コンテスト「The Alexa Prize」を開催している。AmazonEchoに搭載されている音声認識AI「Alexa」をさらに賢くすることを目的とした技術コンテストだ。

【参考記事】ボイスの時代がそこまできた。モバイルファーストを思い出せ

これまでに22カ国から100チーム以上の大学の研究者チームが応募してきており、そのうちカーネギーメロン大学や、チェコ工科大学、プリンストン大学、カリフォルニア大学などの12チームが、スポンサードチームに選ばれた。スポンサードチームは、開発予算として10万ドルを与えられるほか、Alexa搭載デバイス、Amazonのクラウド・コンピューティング・サービス「AWS」を無料で利用できる。

スポンサードチーム12チームには選ばれなかったものの、ハーバード大などの6チームが、自費でコンテストに参加することが認められ、計18チームがソーシャルボットの開発でしのぎを削っている。

これらのチームが開発したソーシャルボットは、4月からAmazon Echoに搭載され、数百万ユーザーが実験的に利用することになる。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

与党「地滑り的勝利」で高市トレード再開へ、日経6万

ワールド

高市首相、消費減税「やった方がいいと確信」 改憲は

ワールド

自民単独300議席超、「絶対安定多数」上回る 維新

ビジネス

自民大勝でも「放漫財政にならない」=片山財務相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 5
    背中を制する者が身体を制する...関節と腱を壊さない…
  • 6
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 9
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story