コラム

人工知能が万人のものに?米新興企業データロボットがヤバイらしい件

2016年01月28日(木)18時04分

 テクノロジーをベースにした未来予測を仕事としているにもかかわらず、僕は文系なので技術のことは実はよく分かっていない。なのでどの技術やベンチャー企業が有望なのかは、技術が分かる人の動向を追うことで判断しようとしている。

 動向を追っていた二人の優秀な技術者を通じて最近、米国のデータロボット社という人工知能系のベンチャー企業のことを耳にした。しかも一人は自分が創業した企業を離れてデータロボット社に入社したし、もう一人は同社に出資を決めた。

 なんなんだ、このデータロボット社って!?

 どうやらデータロボット社は、技術者でなくても人工知能を自由に扱えるようなサービスを提供しているのだとか。プログラミング知識がないビジネスマンでも、ワープロや表計算ソフトを扱う感覚で人工知能を扱えるようになるというのだ。「ビッグデータ活用が激変します。ビジネスに与える影響は半端ない。革命的です」。一人の技術者は興奮気味に解説してくれた。

渋谷のフリーターから世界的研究者、そして起業

 その技術者とは、シバタアキラさんという若者だ。本名はもちろん漢字だが、あえて本人の意思でカタカナ表記で活動されている。

 僕がシバタさんの動向を追っているのは、その生き様が半端ないからだ。

 シバタさんは神奈川県の高校を中退し、渋谷でフリーター生活を続けていたが、パンクロックが好きだという理由で英国の大学に留学。そこで世界的な研究者の授業に感銘を受け、それからは猛勉強を続けて、ついには素粒子物理学で博士号を取得。ニューヨーク大学の研究員になってからは、世界的に有名なスイスのCERNという研究所で活躍した。すごい人物だ。

 帰国後は白ヤギコーポレーションという人工知能系のベンチャー企業を創業。何度かお話をうかがったことがあるのだが、将来絶対にビッグになりそうなので目をつけていた。

 そのシバタさんが、自分で作った会社を退社したあと、米国のデータロボット社の「ひら社員になりました」(シバタさん)という。「まじですごい会社だと思ったので」。

 どういうことなんだ。いったいどんな会社なのだろう。

リクルートが出資

 もう一人、僕が尊敬する技術者がいる。リクルートの人工知能研究所を立ち上げた加藤真吾さんだ。加藤さんは毎月のように渡米し、人工知能関連の研究者やベンチャー企業に会いまくっている。

 僕は昨年、数人の人工知能の世界的権威を取材する機会に恵まれたが、全員、加藤さんに紹介してもらった。僕が持つ米国の人工知能ベンチャーに関する情報も、ほとんど加藤さんがネタ元だ。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story