台湾有事勃発のシナリオ――中ロはこうして日本を「沈没」させる
ロシアで行われた「戦争の五輪」International Army Games に参加した中国軍(2019年) REUTERS/Vitaly Nevar
<中ロ艦隊が日本列島を周回した挑発行為は「グアム・台湾奇襲作戦シミュレーション」との憶測が>
旧日本軍による真珠湾攻撃から80 年が過ぎた今、中国とロシアの軍事作戦室のデスク上に1つの似たようなシミュレーションがあるのではないか、と各国の軍事専門家たちの臆測を呼んでいる。というのは、中ロ両国の海軍が大日本帝国海軍のような冒険を始めたからだ。
日本が衆議院選挙に突入した10月下旬、中国海軍とロシア海軍の艦艇合わせて10隻が日本海から津軽海峡を通って太平洋に入った。両国の海軍が津軽海峡を通過するのは初めてではないが、連合艦隊を形成する形では過去に例がなかったので、専門家たちも驚きを禁じ得なかった。
中ロ両国の海軍はその後、千葉県の犬吠埼沖から南下し、高知県の足摺岬沖を経て、鹿児島県の大隅海峡を遊弋(ゆうよく)しながら東シナ海に至った。日本列島を一周した両国の軍事的な示威行動は、日本とアメリカ、ひいてはオーストラリアと韓国をも戦略的に牽制するために行われた演習だと指摘されている。
中ロの空軍が沖縄県の尖閣諸島付近を飛行したり日本海を北上して島根県の竹島上空に侵入してみせた前例はある。日韓両国の係争地を通過することで、アメリカの2つの同盟国がそれぞれどのように反応するかを試しているようだった。
今回の両海軍の行動は明らかにそうした積み重ねの上で行われ、さらに大胆な挑発となっている。では、両国は実戦ではどのような作戦に打って出るのだろうか。各種の研究機関の情報を基に独自に分析してみよう。
まず中ロ両国海軍が、第1列島線を突破して西太平洋に出たとしよう。ロシア軍がアメリカのグアム基地に攻撃を仕掛けると、日米両国は同盟条約に則して反撃を開始する。日米の隙間を突くように中国軍は同時に台湾に侵攻し始める。
従来の想定どおり、台湾西部の平原地帯に上陸するとの陽動作戦を発動しながらも、実際は東部の花蓮空軍基地を粉砕してから一気に島全体を占拠する。ロシア軍は返す刀で沖縄の米軍基地に襲い掛かると同時に、中国軍は石垣島をはじめとする南西諸島を戦略的に押さえる。
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