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イタリア事情斜め読み

ヴィズマーラ恵子|イタリア

欧州は1回目と2回目で違う種類のミックスワクチン接種を検討。イタリアはどうする?

iStock- Federico Fermeglia ミラノ-イタリア-2021年3月22日。Fabbrica del Vapore文化およびパフォーマンスセンターに設置された予防接種ポイントでワクチンを受け取るための行列。

アストラゼネカワクチンは最近「Vaxzevria」と改名された。
アストラゼネカワクチンは、COVID遺伝子をヒト細胞に運ぶ「非増殖性ウイルスベクター」に基づいたワクチンである。
つまり、コロナウイルスのスパイクワクチンを入れて感染させ、遺伝暗号をヒト細胞に送信して複製不可能なウイルス(チンパンジーアデノウイルス)を使用したものである。
抗原提示、獲得免疫応答誘導となり、免疫が構築される仕組みで、私たちの免疫システムが活性化される。

オックスフォード大学とアストラゼネカが共同開発したこのワクチンは、消費期限が6か月で、2〜8度で保存管理できるという非常に管理しやすく、3ユーロ未満の低コストである。
管理が簡単でコスパも最高なアストラゼネカワクチンは、約140か国で購入希望があり期待されていたが、3月末の段階では、アストラゼネカワクチンは80か国以上で認可を受けている。
世界的なワクチン施設であるCOVAXが提供する主要なワクチンの1つがアストラゼネカワクチンである。

さて、その有効性は?

| イタリアでのワクチンを接種した成人、および高齢者の最新有効性データ

3月25日木曜日に発表された最新のデータによると、アストラゼネカのワクチンは一般集団に対して76%の有効性を持っているという。(詳細には68%から82%の範囲)。
65歳以上の成人では、有効性は85%(詳細には58%から95%)。
このワクチンは、コロナウイルスに感染しても重症化、入院・集中治療、死亡というリスクを100%予防すると示されている。


このワクチン接種はどの年齢層に推奨されるべきかを見直し、検討中

実際、ワクチンを使用する年齢層には欧州各国ではばらつきがあった。
欧州医薬品庁(EMA)は、1月下旬に18歳以上の人々へアストラゼネカ投与を承認したが、当初は、一部の国(ドイツとイタリアを含む)は、高齢者人口の有効性を示すデータが不足していたため、まずは55歳未満の人々にアストラゼネカを割り当てることを選択していた。
そのため、イタリアでは、現役の教職員たちと警察官たちを対象としてワクチン接種キャンペーンを行った。その有効性などを示すデータが徐々に集まってきたことにより、それらの有効性が高く評価され、ワクチンキャンペーンも好調であったので、18歳以上のすべての年齢層で推奨されたのがイタリアである。

最近、一部の国での推奨は反対の方向に進んでいる。55〜60歳以上の被験者にのみ使用を制限するという、欧州の近隣諸国の決定にイタリアも足並みを揃える形で検討中であるという。

変更につながった問題は何だったのか?

これまでのところ少なくとも7か国で、異常な症状の組み合わせが検出されている。
非常にまれな特定のタイプの血栓症(広範囲の血栓と血小板数の減少、時には出血を伴う)のいくつかの症例は、主に25〜65歳の女性で報告された。
イギリスでは、ワクチン接種を受けた1,800万人のうち30人(7人が死亡)、ドイツでは31人、オランダでは5人、フランスでは12人。
イタリアでの最新の報告は、リグーリア州の32歳の女性教師が、脳出血性血栓症でに入院した。その他、ここ最近、立て続けにアストラゼネカを接種して数日後に死亡した女性教師や学校関係者についてもニュースの片隅に紹介されていた。

欧州諸国は、年齢に関連してその使用を制限する動きに変わっていった。

ドイツ、オランダ、アイスランド、フィンランド、カナダは、アストラゼネカワクチンの使用を高齢者(通常60歳以上)のみに制限することに決定。
オランダでは最初は60歳未満の人の接種を中止していたが、現在は無駄を避けるため年齢に関係なく、そしてその間にワクチン接種キャンペーンを再編成するために、アストラゼネカワクチンの使用を完全に停止した。
スウェーデンでは65歳以上の人に投与、フランスでは55歳以上の人に投与するという制限を決定している。
タイとインドネシアは一時的に使用を停止し、コンゴ民主共和国とカメルーンは、今のところアストラゼネカのワクチンを使用しないことを決定した。


| まれな血栓症とアストラゼネカワクチンの間に因果関係はあるのか?

欧州医薬品庁(EMA)のリスク評価委員会は、すでに問題と血栓症のデータを検討しており、今日までに、
"ワクチンは安全であると判明した。報告された副作用と薬との間に因果関係はない。特定の年齢層を薬物投与から除外することを示唆する証拠はない"ことを繰り返し述べている。
しかし、血栓症の発生率に関するデータは、予防接種を受けた人のタイプによってずれている可能性がある。
実際、多くの国では、65歳未満の人々や、医療専門家や教師などのグループはアストラゼネカを接種しており、またその大部分が女性だったこともあり、EMAは、アストラゼネカワクチンと血栓症には何らかの因果関係がゼロではなく、リンクしている可能性があることを除外してはおらず、そのまま調査を続行している。

| 年齢層別のリスクベネフィット計算とは

ミラノ大学免疫学者のセルジョ・アブリニャーニ教授は「まれな脳血栓症がアストラゼネカワクチンに関連しているかどうかはまだ分からないが、例えば60歳未満の人達がコロナに感染したとしても、現状ではおそらく亡くなる可能性は低いだろうが、ワクチンの副反応に苦しみ血小板レベルの低下に関連する血栓性で亡くなってしまうリスクになると50%と致命的である」と説明している。

55歳以上では、ワクチンの効果は血栓症のリスクよりも非常に高いが、若い年齢層では接種できるワクチンが異なるため、この数字がリスクと利益の比率をさらに反映させる必要があるという。

| ミックスワクチンの有効性について

1回目にアストラゼネカワクチンを投与した人が、2回目の接種に種類の違うワクチンを接種することはできるのだろうか。

アストラゼネカは、ウイルスベクターワクチンであり、ファイザーとモデルナはメッセンジャーRNAワクチンである。

ワクチンの種類が違う。

詳しくは、2021/03/14号【イタリア事情斜め読み】アストラゼネカ製ワクチン接種後イタリア人死亡で接種中断、因果関係は?で様々なワクチン種類とその違いについてを説明をしています。 こちらから


ドイツでは、アストラゼネカの初回接種を受けた60歳未満の人々に、2回目のmRNAワクチン(ファイザーまたはモデルナ)のワクチン接種をする計画が立てられているという。これは、220万人のドイツ人に影響を与える可能性のある決定である。
これまでドイツでは、アストラゼネカの2回目の投与を受けたのはわずか2000人である。

1回目と2回目で違う種類のワクチンを投与する、いわゆる"ミックスワクチン"の有効性についてはまだ不明で、まだ存在していない特定のフェーズ3で実証される。ミックスワクチンは、今後のトライアルで明らかになるであろう。

1回目と2回目の投与の間の理想的なタイミングとしては、WHOの推奨事項によると8〜12週間以内にアストラゼネカの2回目の投与を提供することを推しているのだが、現在イタリアでは、ワクチンが不足していることから、アストラゼネカによる追加免疫は最初の1回目投与から3か月後になるだろうと期待されている。

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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