イタリア事情斜め読み
中国がコロナウイルスはイタリアが起源だと主張し始めた
|「中国はコビッドがイタリアで生まれたと考えている」とニューヨークポストへ啓示
米国の新聞は、
「ウイルスが武漢に到達する以前に、イタリアで既にコロナウイルスのパンデミックが始まっていたとの研究は、アジアの国々で広まっている」と、中国中部の湖北省武漢市が"起源"であるという説に反発し、ここ最近では「コロナウイルスのオリジナルはイタリアが起源」説を主張している。
という記事が掲載され、イタリアで報道されたのが2020年11月21日のことであった。
中国の科学者らが主張しているのは、新型コロナウイルスの「世界最初の例」は、正確にはイタリアであり、コロナウイルスの症状が報告されたのは2019年9月なので、武漢で発見されるより3か月も前であったのだし、すでにイタリアに新型コロナウイルスの症例があった。なので、新型コロナウイルス感染症が「武漢から始まったのではない」という。
この主張はニューヨーク ポストによって再開された。
問題の研究は、ミラノ大学やシエナ大学とVisMederi srlと協力して、ミラノの国立癌研究所(Int)によって実施された研究によるもので、実際、この研究は中国を含む世界中のメディアの注目を集めていた。
ニューヨークポストによると、「アジアの国はこの研究を中国がパンデミックの発祥の地であるという信念について疑問を投げかけるために利用している。」とコメントしている。
コロナウイルスがイタリアでどのように発生したかを示唆する研究を推進していると言う。
|「イタリア生まれのコビッド」説
北京の一部の当局者がイタリアの研究を際立たせだす数ヶ月前にも、中国はスペインでのパンデミックの誕生を「アンロード」しようとし、その前は、2019年10月の世界軍事ゲーム中に米軍が武漢にウイルスをもたらした疑いがあるとして、スポットライトを当てていた。
次は、イタリアか....
中国外務省のスポークスマン趙 Lijiainは、「この研究はさらに、多くの流体プロセスで実証されてあり、ウイルスの起源を追跡することは、科学者に委ねられるべき複雑な科学的問題だ」とタイムズ紙に語った。
WHOも、新型コロナウイルス感染症が武漢で検出される前に「すでに他の場所で静かに循環していた」可能性があることを認めている。
2019年9月からすでにイタリアでコロナウイルス感染症が循環していたという調査については、多くの科学者はイタリアの研究結果に懐疑的であるとしている。
コロナウイルスが中国発生説を完全に排除するものではないと指摘する人もいる。
国立ミラノ大学のカルロ・フェデリーコ・ペルノ教授らの研究チームは、2月から4月にかけて、ロンバルディア州の新型コロナウイルス感染者371人の血液サンプルから採取し、ウイルス株の遺伝子の変異に基づいてその起源を追跡したところ、ウイルス株は2つの独立した家系に属し、最も被害を受けたベルガモ県から採取したウイルス株は、攻撃的で中国のウイルス株とは異なるものであるという研究が報道された。
同研究ではウイルスは、複数のルートを介して、ロンバルディア州に入ったきた可能性があることと、ウイルス起源とされているものが突然変異をし、そのウイルス株がすでに中欧で発見されているという論文が発表された。
また、調査を行ったミラノ国立がん研究所のジョバンニ・アポロン氏は、「中国がその発生の発表を遅らせたという事実がある限り、私たちはコロナウイルス感染症の流行がいつアジアで広がったかなど知る由もない。しかも、中国と北イタリアとの強い商業的つながりを考えると、ウイルスは武漢より後にイタリアに到着した可能性がある。」とタイムズ紙に語った。
それでは、これらのイタリアでの研究は、何のためにされたのか?
ジョバンニ・アポロン氏は、
「これは、2019年9月から2020年3月の間に肺がんスクリーニングの参加者から採取された血液サンプルの分析に基づいて、発症日を監視するための考慮事項だった。イタリアの地域における頻度と時間的および地理的変動を見て、Covid19が2019年9月という早い時期に無症状でイタリアを循環していたと主張したかったのだ。」
という。
研究者の驚いたことに、彼らの11.6%(959人中111人)がコロナウイルスに対する抗体を持っていたことが明らかになり、そのうち14%はすでに9月に、そして30%は2020年2月の第2週にウイルス抗体を持っていた。ウイルス抗体を持っている人の53.2%はロンバルディア州の人。
はたして、コロナウイルスの起源はイタリアなのだろうか?
3月11日には中国の次に多い感染者数がイタリアになってしまった。欧州一多い感染者数だった。現在は、
イタリアの新型コロナ死者、英国を超え欧州最多に
現在のイタリアのコロナウイルスの流行の最新状況は、少なくとも1,843,712人(回復した人と死んだ人を含む)がコロナウイルスに感染している。
12月13日(日)の情報では、新しい症例は17,938件で、前日(より+ 19,903人)、1日の死亡数は484人、昨日より+ 0.76%(昨日は+649)だった。2月以降の犠牲者は合計64,520人。現在ウイルスを持っている陽性の被験者は合計で686,031人、昨日に比べ0.17%減
1日にPCR検査を受けた人は152,697人、その内陽性率は11.7%(昨日は10.1%)だった。
ミラノからナポリまで、中心街の通りに群衆と行列が戻った。今日からロンバルディア州とピエモンテ州が
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) December 13, 2020
イエローゾーンへと緩和された。カンパーニャ州は、オレンジのまま。https://t.co/ANT7TSeR5t
著者プロフィール
- ヴィズマーラ恵子
イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie