パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです
オリンピックに彩られた現在のパリの街
パリの住民にとっては、実際以上に長く感じられた厳しい規制を伴う今回のオリンピック準備期間を経て、今、パリではオリンピック本番を迎え、街中はオリンピックに華やかに彩られています。
セーヌ川沿いのエリアの通行止めや公共交通機関、メトロの駅閉鎖、バスの迂回運転などのこれまでの様々な交通規制の大部分はセーヌ川上での開会式セレモニーのパレードやパフォーマンスのためで、実際にオリンピックが始まってみれば、未だ規制は残ってはいるものの、だいぶ緩和され、ふつうに歩くことができるようになりました。
コンコルド広場を中心としたパリ市内のオリンピックヴィラージュ
一応、公的には、いわゆるオリンピック村、オリンピックの選手村はパリ北部のセーヌ・サン・ドニにできていますが、実際のパリ市内のオリンピックのいわゆるシンボル的な場所はコンコルド広場を中心に広がっている感じです。もう半年くらい前から「PARIS 2024」のパステルピンクやペパーミントグリーンや淡いパープルを基調としたのぼりは市内のあちこちに出始め、また駅の各所にはオリンピックが行われる場所の案内の看板(これも同色の淡いピンク)が少しずつ増え始めていました。現在の駅には、スライドなどを使ったオリンピックの広告やプロモーション映像が流されたりしてオリンピックムードを盛り上げています。
オリンピックが始まった今、街に出てみると、その完成形という感じで、このフラグや看板などが街中に一気に拡がり、看板だけ見ていた時は、「なんでこのピンク?なんで、パステル調のフラグ?」と思っていた色も、パリの荘厳な建築物や緑の木々、青い空などとの相性がとてもよく、トータルとしてバランスよく美しくパリの街を彩っています。
とりわけ、アーバンスポーツ競技(スケートボード、ブレイキン、3×3バスケ、BMXフリースタイルなど)のために特設会場が設けられているコンコルド広場を中心としたエリアは、どこを切り取っても絵になる美しい場所になっています。そもそもコンコルド広場という立地自体がそういう場所ではあるのですが、この広場にあるオベリスク、広場に繋がるシャンゼリゼをはじめ、グランパレ、エッフェル塔、すぐ側に流れるセーヌ川、川向こうに見えるオルセー美術館、そして、コンコルド広場からシャンゼリゼとは反対側には、チュイルリー公園、ルーブル美術館などが歩いて回れる範囲内に存在し、そのどれもがオリンピックモードに彩られて、いつもとはちょっと違う趣に感じられます。
コンコルド広場・チュイルリーの駅は閉鎖されているものの、このあたりにメトロの駅はたくさんあり、そのどこからでも、充分徒歩圏内で、むしろ、この時期、メトロなどに乗ってしまうのはもったいない、歩いてこの景色を楽しんだ方が良い感じがします。会場近辺のエリアに入る前に、軽い荷物検査をしているところもありますが、警察官も比較的穏やかモードで簡単に済みます。
また、この周辺は、一般車両の通行が制限されているため、よく考えれば、ほぼほぼ歩行者天国状態で一部、車両が通行できる車線が残っている場所もありますが、通行量は少ないため、歩きやすくなっています。
パリ市内には、もう数歩歩けば見かけるほどの警察官や憲兵隊、たくさんのボランティアの人々がいて快く道案内をしてくれて、ほぼほぼ皆、英語を話してくれます。中には、「なにか質問はありませんか?」などと声をかけてくれたりもするので(英語で)、私がフランスに来たばかりの頃の「フランスに来ているんだからフランス語で話せ!」などとメトロの駅などで見かけたりしたことを考えれば、フランスもずいぶん進歩したんだな・・と感心させられたりもします。
コンコルド広場のシャンゼリゼに面した通りでは、ボランティアの人が記念写真用のフレームを持って待っていて、記念写真を撮影してくれます。よく日本の観光地にある顔だけ入れて写真を撮る感じのものが簡易化された感じのものでパリオリンピックのフレームだけを好きな角度で自分たちの姿を入れて写真が撮れます。このお兄さんも、すごくフレンドリーで感じよい青年でした。
今回のオリンピックでは、古くからあるパリの名所、モニュメントのような場所、コンコルド広場はもちろんのこと、グランパレやエッフェル塔などを競技会場として利用しているため、その場に特設された観客席などは簡易的なものではあるようですが、オリンピック期間だけのために新しい建築物を建てるわけでもなく、逆にパリの名所を広く全世界に印象付けるという意味ではよいパリのプロモーションにもなっていると思います。
今回、一度は、このあたりを歩いてみようと思い、私はマドレーヌの駅からアクセス(歩いて)してみたのですが、マドレーヌからこのコンコルド広場の周辺を歩いて、会場を横目で見ながら、セーヌ川を拝み、向こうに見えるオルセー美術館やセーヌ川の遊覧船などを眺めつつ、チュイルリー公園を廻って、ルーブル美術館を横目で見ながら、この会場を出てきましたが、この一周をして、だいたい5,000歩程度という、ほど良いお散歩になりました。
チュイルリー公園内に設置されている気球の聖火台
今回のオリンピックの中で、競技以外にけっこう注目されているもののひとつには、「ヴァスク・ド・パリ2024」と名付けられた気球で浮かび上がる聖火台があります。4時間にも及ぶ長い開会式の最後の方に聖火ランナーがルーブル美術館に向かった段階で、「え~~?なんで?またルーブルに行くの?聖火リレーでルーブル美術館はもう通ったじゃない?」と思ったのですが、これは、この聖火台がルーブル美術館繋がりのチュイルリー公園にあるからなのでした。
この聖火はEDF(フランス電力)がこのために特別に開発したという水と光でできた燃料を使わない新世代の熱気球で、大会期間中、チュイルリー公園の一画に設置されています。毎晩、日没(といっても日が長いので夜10時頃のようですが・・)とともにこの気球が夜空に浮かびあがります。この気球、上空にあがると、まさに近隣のパリの名所といわれる建築物などと、どの角度から切り取っても幻想的な風景になります。
チュイルリー公園だし、一応、見ておくか・・くらいの軽い気持ちで私は見に行ったのですが、これが想像以上に感動的で、昼間にもかかわらず、そこに炎とともに輝く気球はチュイルリー公園の緑と様々な彫刻等に彩られて実に見事!また、正面?から見ると、そういえば、向こう側に見えるのはシャンゼリゼ、そしてその向こうには凱旋門!とこの気球のバックには、思わぬ景色が広がっていて、この気球の発想といい、この気球を置く位置といい、すごいことを思いついたものだ・・と感動しました。
エッフェル塔やグランパレ、そしてヴェルサイユ宮殿と既存のものを上手く利用しているパリオリンピックにこの燃料を使わない新世代の気球の聖火台を融合したパリオリンピック、そもそもの街自体が美しいというゲタを履いているところはありますが、それをさらに美しく彩っていて、こんな風景のパリ、いつもでは見られない・・厳しい規制期間に耐えて、パリに残っていてよかったな・・と今はちょっと思っています。
著者プロフィール
- RIKAママ
フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。
ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」
Twitter:@OoieR