Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
ケアンズで体感する、1年以上コロナ・フリーのヘルスコンシャスな食と暮らし
オーストラリアの北東部に位置し、世界遺産グレート・バリア・リーフの玄関口でもあるケアンズ。
街の名前は聞いたことがなくても、「グレート・バリア・リーフ」と聞けば、知っている人は多いはず。日本からグレート・バリア・リーフへ行くなら、最も近くて手軽に行けるのがケアンズだ。
そんなケアンズとその周辺地区は、新型コロナウイルスの世界的流行が始まった初期に数人の感染者が確認された程度で、その後、市中では1人も感染者がでていない。いわば1年以上「コロナ・フリー」の街。
ケアンズのあるクイーンズランド州は、オーストラリア第三の都市ブリスベンを首都とし、人口約523万人とニュージーランド1国とほぼ同じでありながら、感染拡大をかなり抑え、死者数も少なく、数字的にみるとニュージーランドより優秀だ。
州政府ごとに感染対策を行っているオーストラリアでは、州によって感染状況が異なる。豪国内で3番目に人口の多いクイーンズランド州で、上位5位までに入るほど比較的人口の多いケアンズ周辺は、1年以上市中感染0(ゼロ)となっている。
新型コロナウイルス感染の心配があれば、なかなか思うように行動できないもどかしさがあるが、1年以上コロナ・フリーの安心感は驚くほど快適で、街の人々は以前と変わらぬ暮らしを楽しんでいた。
『はるか北方』の常夏のヘルシー・タウン
ケアンズは、オーストラリア大陸最北端のヨーク岬の付け根に開けた街で、この辺りはクイーンズランド州の北東部に位置することから「Far North Queensland(クイーンズランドのはるか北方)」と呼ばれる。
その位置関係から、気候は「熱帯」に属し、日本でよく知られているシドニーやメルボルンなどのオーストラリアの都市とは、気候も雰囲気もまったく異なっている。
常夏で、トロピカルな東南アジアのような雰囲気もあり、オーストラリア国内を移動しているだけなのに、別の国に行ったような気分になれる街でもあるのだ。
暖かい気候も手伝って、市民はアウトドアで過ごすことが多い。なかでも、海沿いにある無料の「ラグーン・プール」は、市民の憩いの場となっていて、朝からプールで泳いだり、周辺に造られたボード・ウォーク(木道)でウォーキングやランニングをしたり、水辺に集まってくる野鳥を観察するなど、アウトドア・アクティビティを楽しむ人々で一日中賑わう。
気候や食べ物は、健康に大きく左右するが、こうした健康的なライフスタイルも病気を予防する一助になっているのだろう。
2つの世界遺産に囲まれた街ならではの、ヘルシーな食材の宝庫
健康的な生活には、当然、『食』も欠かせない。
ケアンズは、冒頭に書いた「グレート・バリア・リーフ」だけでなく、先日のコラムで紹介した 世界最古の熱帯雨林「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」という2つの世界遺産に囲まれている。
この貴重な『海の世界遺産』と『森の世界遺産』は、驚くほどたくさんの自然の恵みをもたらしてくれる。
海では、新鮮な魚やクイーンズランド州特産の小ぶりのクルマエビのような中形のエビ(Prawn)、森では、先住民の人々が太古の昔から食べてきた木の実、また、熱帯気候を生かしたトロピカルなフルーツなどなど......
そしてなにより、世界遺産の熱帯雨林から流れ出す清らかな水は、おいしい食物を生み出す原点でもある。
ケアンズは、こうした大自然に育まれた新鮮でカラダにやさしい食材の宝庫なのだ。
ケアンズの台所、ラスティーズ・マーケット
ケアンズ唯一の市場でもあり、市民の台所ともいえるのが、市内中心部にある「ラスティーズ・マーケット」だ。
ここにはケアンズ周辺地域から、さまざまな食材が集まってくる。一見、アジアか南太平洋の島国の市場を思わせる素朴さが魅力のマーケットで、規模的にはさほど大きくないが、揃っている食材は目を見張るものがある。
目に飛び込んでくるのは、色とりどりのトロピカル・フルーツや野菜。どれもこれも、裏庭で採ってきたようなもぎたての新鮮さが一目見ただけでわかるほどだ。ここへは何度も訪れているが、楽しすぎてついつい長居をしてしまうところが悩ましい...(笑)
フルーツは、予めカットしてパック詰めされたものもあるので、その場で買って食べることもできる。また、イタリアやギリシャ、タイ、ベトナムなどなど、世界各地の料理屋台が市場内に並んでいるのが、移民国家オーストラリアらしいところ。市場での各国料理食べ歩きは、アジアの国ではなかなか味わえないはずだから。
ケアンズの食の奥深さを体感するなら、まずここは最初に押さえておきたいところだ。
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著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/
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