最新記事
グリーンランド

「今のグリーンランドは11年前のクリミアと同じ」...グリーンランド領有を主張するトランプに広まる反発

US Bid for Greenland Like Russia's Annexation of Crimea: Ex-Diplomat

2025年3月26日(水)15時30分
イザベル・ファン・ブルーゲン
グリーンランド領有を主張するアメリカに反発するグリーンランド人によるデモの様子。在ヌーク米総領事館まで行進した

グリーンランド領有を主張するアメリカに反発するグリーンランド人によるデモの様子。在ヌーク米総領事館まで行進した(3月15日、ヌーク) Christian Klindt Soelbeck/Ritzau Scanpix/via REUTERS

<度重なる批判にも屈せずグリーンランド領有を主張するトランプ。その姿は敵国ロシアと変わらない>

3月15日、元ウクライナ駐在武官(1999~2007年)であり、現在はデンマーク国防アカデミー国防アカデミーの講師を務めるクラウス・マティーセンは、自身のX(旧ツイッター)に「現在グリーンランドで起きていることは、11年前のクリミア併合前夜を想起させる」と投稿した。

この投稿は、ドナルド・トランプ米大統領が、大きな批判を受けているにもかかわらず、デンマークの自治領であるグリーンランドをアメリカに併合する意思を執拗に表明していることを受けてのものだ。


マティーセンの投稿で引き合いに出されたクリミアは、ロシアとウクライナ間の戦争において、依然として重要な火種だ。黒海に突き出たクリミア半島は、2014年にプーチン大統領によって掌握されたが、その行為は国際社会から非難され、違法と見なされている。

クリミア併合に先立ち、プーチンはクリミアの戦略的・軍事的重要性を強調し、同地域におけるロシアとの歴史的結び付きを主張していた。

2014年3月18日、クリミアをウクライナから切り離したその日、プーチンは連邦会議での演説の中で、港湾都市セバストポリを「伝説的」で「輝かしい歴史を持つ」と表現し、「ロシア黒海艦隊の誕生の地である要塞だ」と称賛していた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、併合されたクリミアの奪還を誓っており、支配下に戻すことは持続的な和平合意にとって不可欠な条件として主張している。

マティーセンは、「アメリカの政治家たちは大挙して押し寄せ、グリーンランドをアメリカのものにしようと扇動するだろう。そして『すべてはもっと良くなる』と約束するのだ」と述べ、アメリカの動きに警鐘を鳴らした。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英仏・ウクライナの軍トップ、数日内に会合へ=英報道

ビジネス

米国株式市場=S&P500・ダウ反発、大幅安から切

ビジネス

米利下げ時期「物価動向次第」、関税の影響懸念=リッ

ワールド

再送-日鉄副会長、4月1日に米商務長官と面会=報道
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中