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韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求可決、6時間余で事態収束へ

2024年12月4日(水)10時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

与党代表も戒厳令を批判

この日の大統領談話はまったく予定になかったもので、大統領室のスタッフの中には通常通りに退勤してから、緊急で何か発表が行われるということで大統領府に戻った者も少なからずいたという。

 
 

それだけに政界からも批判の声があがった。野党で国会では最大勢力の共に民主党代表の李在明(イ・ジェミョン)は、「ユン大統領が何の理由もなく非常戒厳を宣布した。もうすぐ、戦車と装甲車、銃や刀を持った軍人たちがこの国を支配するようになる」と戒厳令を批判。さらに「国民の皆様が守ってくれなければならない。我々の力だけでは不足する。国の主人、国民が出てくれなければならないのだ」と述べた。

また、戒厳令を批判する声は野党だけではなく、与党の国民の力からもあがった。国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は、ユン大統領が非常戒厳令を発令したことについて「要件にもそぐわない違法な違憲的な、非常戒厳宣言だ。必ず阻止したい。国民は安心してくれてほしい。必ず私たちが違法・違憲的な非常戒厳を妨げる」と表明した。

国会に戒厳軍が突入

こうしたなか、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は午後11時に「すべての国会議員は今すぐ国会本会議場に集まってほしい」と発表。戒厳令を解除できる事実上唯一の方法である国会での採決を行うためだ。戒厳の解除を要求するための要件である「在籍議員過半数の賛成」のためには、最低150人の国会議員が早急に本会議場に集まらなければならなかった。

国民の力のチュ・ギョンホ院内代表と共に民主党のパク・チャンデ院内代表も一斉に議員らに「国会に集合」と呼びかけた。

だが、こうした国会議員たちの動きに対して、軍は国会の上空にヘリコプター数機を送り、武装した空挺部隊の兵士たちが、国会本庁舎へ向けて進入していた。さらに警察も国会議事堂の通用口を閉鎖した状態で、多くの与野党議員は塀を越えて本庁舎内に進入したという。

こうして国会内に姿を見せた国会議員は4日0時頃は約60人だったが、非常戒厳令の解除要求決議案が本会議に上程されて表決に入った1時ごろには議決数を超える190人に増えた。戒厳軍が国会本庁のガラス窓まで破って建物に進入した状況で、議員たちはウ議長に「早く上程し採決するべきだ」と抗議したものの、ウ議長は「国会が定めた手続きに誤りがないように進行しなければならない」と、10分間、案件上程を待っていた。

結局、表決に参加した議員190人全員賛成で戒厳解除要求案が戒厳令の宣言から155分後に可決された。

戒厳軍は戒厳解除要求案が可決されると、国会から撤退したが、与野党の議員たちは「ユン大統領が戒厳令の解除を公式宣言するまで待とう」と、国会にとどまっていたという。

ユン大統領が戒厳を解除、野党は弾劾案を国会提出へ

ユン大統領は4日4時30分ごろ、龍山(ヨンサン)の大統領室から国民向け談話を行い、戒厳令の解除を発表した。直後に閣議が開かれて韓悳洙(ハン・ドクス)首相は非常戒厳令解除案を議決し、6時間あまりにわたった戒厳令は解除された。

一方、今回の事態を受けて野党は、非常戒厳解除だけではすまないと即時の弾劾手続き突入まで示唆した。共に民主党と祖国革新党、進歩党などの議員40人余りが集まって先月発足した「ユン・ソンニョル弾劾国会議員連帯」は4日、国会で記者会見をして「ユンソクヨルを弾劾しよう」と主張した。

さらにユン大統領を守るべき大統領室からも反旗があがった。4日午前、大統領室首席秘書官以上の参謀陣が一括辞意を表明したのだ。大統領室は同日午前、取材記者団に「大統領室室長・首席秘書官が一括して辞意を表明した」と明らかにした。

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