B29の発進地「原爆の島」が再び動き出す...米軍が太平洋で進める、新たな「対中国戦略ミッション」とは?
A NEW MISSION
戦後、テニアンにあった2つの飛行場は、対照的な運命をたどった。島の中央部に位置し、3本の滑走路があったウエストフィールド飛行場は、拡張されてテニアン国際空港になった。
一方、ノースフィールドは、原爆を積んだB29の発進地という史跡として記憶されるのみで、半世紀以上にわたり使用されることも、修繕されることもなかった。それが今、米空軍の新戦略「機敏な戦力展開(ACE)」の一環として、再建されようとしている。
米国防総省は、中国のマルチドメイン(多領域)脅威を阻止する「太平洋抑止イニシアチブ(PDI)」を国防計画の中心に据えており、テニアンではインド太平洋地域における作戦を支援するべく、飛行場に離着陸のほか給油や駐機の機能を追加するプロジェクト3件を進めている。
今年4月には米空軍が、ノースフィールドを再建するべく、計1.8平方キロの舗装作業を進めていることを明らかにした。その滑走路をアメリカの「戦力投射プラットフォーム」にしようというのだ。
飛行場を覆っていた草木の伐採作業は1月に始まっており、既に地域合同軍事演習における未舗装滑走路の着陸訓練に使われている。
米空軍の新戦略ACEの要衝
ノースフィールド整備計画の終了予定日は明らかにされていないが、テキサス州アービングに本社があるエンジニアリング会社フルーアが、ノースフィールドの「舗装および輸送支援」事業を5年間4億900万ドルで請け負ったと発表している。