最新記事
中東情勢

イスラエル、ハマス最高指導者シンワル氏の殺害発表...「人質奪還まで攻撃」

2024年10月18日(金)10時23分
イスラム組織ハマスの最高指導者シンワル氏

イスラエル軍は17日、パレスチナ地区ガザでイスラム組織ハマスの最高指導者シンワル氏(写真)を殺害した可能性を確認していると発表した。8月撮影(2024年 ロイター/David 'Dee' Delgado)

イスラエルのカッツ外相は]17日、イスラム組織ハマスの最高指導者シンワル氏がパレスチナ自治区ガザでイスラエル軍に殺害されたと発表した。

昨年10月7日のイスラエル奇襲を首謀したとされるシンワル氏の死亡は「イスラエルにとって軍事的にも道徳的にも偉大な成果だ」と述べた。


 

また、ネタニヤフ首相は声明で、シンワル氏の死が中東和平の機会をもたらすとしながらも、まだ任務は終わっていないと指摘。人質の家族に向けて「これはこの戦争における決定的瞬間だが、人質が全員帰還するまで全力で攻撃を続ける」と言明した。

イスラエル軍はガザ南部ラファ市での通常作戦中にハマスの戦闘員3人を殺害したと発表し、その後シンワル氏の死亡を確認した。情報に基づき指導者らを狙う作戦とは異なり、シンワル氏と知らずに遭遇したと明かした。

ハマスは公式コメントを出していないが、関係筋はシンワル氏がガザ南部で殺害された兆候があると述べた。

バイデン米大統領は声明で、シンワル氏が目標の達成に向けた大きな障害だったとした上で、「その障害はもはや存在しない。しかし、なお多くの課題が残っている」と述べた。

またホワイトハウスによると、バイデン氏がネタニヤフ氏と電話会談し、シンワル氏の死亡を機にいかに人質を帰還させ、戦争を終結させるかについて協議した。

交渉の先行き

ハマス最高指導者だったハニヤ氏が7月にテヘランで暗殺された後、トップに指名されたシンワル氏は、ガザに築いた地下トンネルに20年間にわたり潜伏していたとみられる。

米国務省のミラー報道官は、シンワル氏が戦争終結の「最大の障害」だったとし、同氏の死亡を受けて米国は停戦と人質解放を実現する提案について協議を始めたいと述べた。シンワル氏がここ数週間、交渉を一切拒否していたとも明かした。

欧米は停戦を望んでいるが、シンワル氏殺害が中東での対立を激化させる恐れもある。イスラエルは親イラン武装組織ヒズボラを標的にレバノンでも地上作戦を進めているほか、イランが今月行ったミサイル攻撃への報復も計画している。

とはいえ、シンワル氏の死亡が行き詰った停戦交渉を前進させるきっかけになる可能性はある。ガザとイスラエルの当局によると、今回の紛争でイスラエル側で約1200人が死亡、250人以上が人質になった一方、パレスチナ側の死者は4万2000人以上に上っている。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 初の実

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中