米大統領選も終盤へ「10月には魔物がいる...」歴史を変えてきた決戦前夜の大逆転は今回も起きるか
WILL THERE BE AN OCTOBER SURPRISE?
選挙戦最終盤の10月には魔物がいる。たった一発で流れを変えてしまうようなサプライズが起きる。
もう何十年も前から、アメリカの大統領選に挑む人たちはそう思い、腹をくくっていた。だが共和党のトランプと民主党のカマラ・ハリスの対決となった今回は暑い夏からサプライズ続きだ。これ以上に劇的な出来事など、あり得るのだろうか。
今年6月までの選挙戦は退屈だった。前職トランプと現職ジョー・バイデンの再戦に新味はなく、どちらの支持率も低迷していた。世論調査をやれば、有権者の多くはこう答えていた。2期目を狙う高齢の男2人以外なら誰でもいいと。
流れが変わったのは6月27日。早々と開かれた恒例のテレビ討論会の、そのわずか90分で81歳の現職バイデンは醜態をさらし、半世紀に及ぶ政治生命に事実上の終止符が打たれた。これでは次の4年間は任せられないと、与党内からも厳しい声が上がった。
それでも本人は、まだ続投の強い意欲を示していた。
その2週間ほど後、トランプはペンシルベニア州での選挙集会で銃撃されたが、無事だった。銃弾は耳をかすめただけで、彼はすぐに立ち上がり、こぶしを振り上げてみせた。そのシンボリックな写真は世界中に流れた。民主党内にも、トランプの勝ちだという悲観論が広まった。